俺的 はちま。 はちま寄稿の管理人が清水鉄平って本当ですか?

名探偵コナンの怖い話ランキング!トラウマ回は図書館館長や山荘包帯男で決まり?

俺的 はちま

「比企谷君」 不意に声がしたので顔を上げると夕日に照らされた雪ノ下の姿があった。 それもそのはず。 ここは奉仕部の部室だ、雪ノ下がいても何ら不思議ではない。 けれども見慣れたはずの烏の濡れ羽色ともいえる髪の毛が夕日に負けず美しく、思わず目が奪われてしまった。 「比企谷君?」 さらに雪ノ下は俺の名前を呼ぶ。 幾ら俺の性格が捻くれているのだとしても、目の前で知り合いから名前を呼ばれて無視するほど腐ってはいない。 「ぁんっ?」と、長い時間声を出していないせいで変な声が出た。 「比企谷君、いえ、違うわね」 さっきから雪ノ下は何を言っているのだろうか。 今日の雪ノ下はおかしい。 由比ヶ浜が来ないことを伝えた時も変な反応をしていたし、いつもなら下校時間まで雪ノ下から声をかけてくることはない。 偶に来客や依頼といった例外は存在するが、雪ノ下の方から砂漠に雪を降らせる様な行為はしないはず。 「比企谷……これも違う、八幡?」 いやいやいや、急に名前を呼ばれると変に意識しちゃうから止めてほしい。 独り言だとしてもこの距離で聞こえる独り言なんて聞いたことがない。 いや、実際に今聞いてるんだが、これは独り言であって独り言じゃない。 「おい、さっきから人の名前呼んで何がしたいんだ?」 「あら盗み聞き谷君。 同じ教室にいることが許されたからといって盗み聞きすることを許したわけではないのだけれど、死んだ魚のような目をしているのに随分と耳聡いのね」 盗み聞きという単語を辞書で調べてこい。 おそらく俺は無実だろうが、ここで言い返したところで雪ノ下に口論で勝つことは不可能だ。 舌先まで伸びていた言葉を紅茶と共に飲み込むことにした。 「名前を呼ばれたような気がしたんだが、俺の気のせいだったようだな」 再び本の世界へ飛び立とう。 そう思った瞬間、今度こそ明らかに俺へと投げかけられたであろう声のボリュームで名前を呼ばれた。 「比企谷君」 「……なんだ?」 「…………比企谷君?」 「いや、だから何だって。 俺の声聞こえてるよな?」 「馬鹿にしないでもらえるかしら。 ノイズが激しくてちょっと不愉快だっただけよ」 毒舌というよりただの悪口だ。 俺が空よりも寛大な心の持ち主じゃなかったら今頃キレて帰っている頃だろう。 だが俺もマゾじゃないんだから多少の苛立ちを覚える。 「…………ごめんなさい。 少し言い過ぎたわ」 「少しじゃないけどな」 表情の変化で少しは俺の気持ちを理解してくれるようになったところはここ一年で変わったところだろうな。 まあ最初から素直にしてくれればいいのだが、人間そう簡単に変われない。 「で、俺に何か用か?」 「用ってほどではないのだけれど」 「気になるから言ってくれ」 「……良いの?」 もったいぶられればもったいぶられるほど気になってしまうのが人間の性というやつである。 ここで「やっぱり何でもない」と言われた日には気になって眠れないまである。 「最近思うようになったのだけれど『比企谷』君ってガヤガヤしていて不快なのよ」 「ただの悪口だからなそれ」 「そうじゃないわ、呼び方の事。 『ひきがや』ってほら、濁音のせいかもしれないけれど呼ぶたびに違和感を抱いてしまうのよ」 「それなら『ゆいがはま』も濁音あるだろ」 「由比ヶ浜さんは特別よ」 何それズルい。 別に由比ヶ浜に嫉妬しているわけではないが、言い訳が拙すぎるだろ。 誤魔化すにしてももう少しましな言い方があっただろうに。 「それにだいたい貴方は私のこと呼び捨てで呼ぶくせに私だけ比企谷『君』と呼ぶのは不公平だと思うのよ」 「なら呼び捨てで良いだろ」 「それだともし私が貴方の事を比企谷と呼び捨てで呼んでいることを周りの人に知られでもしたら、私の印象が悪くなってしまうじゃない」 呼び方だけで印象が下がることはないと思うが、って雪ノ下でも周りの印象とか気にするんだな。 我が道を行く的な気にしない主義だと思っていた。 「じゃあ好きに呼べばいいだろ」 「……それをいま悩んでいたんじゃない。 ピンとくる呼び方が思いつかないのよ」 「呼びやすいように呼べばいいだろうに」 「…………比企谷、比企谷君、八幡……あなた」 そして自分に言い聞かせるように雪ノ下は一人の世界に入って行った。 途中『私の奴隷』『下僕』等、不穏な言葉が聞こえてきたが聞こえないふりをした。 残り少ない高校生活を平穏に過ごせるかは雪ノ下の常識性にかかっている。 結果、下校の時間まで雪ノ下が結論を出すことはなかった。 しかし部室を出て帰路につこうとした時、珍しく雪ノ下が俺の事を呼び止めてきた。 「その、途中まで、一緒に帰らないかしら?」 「は?」 「……今日は寒いもの」 理由になっていない。 確かに今日は寒いがそれとこれとは話が別だと思う。 「それに少し付き合ってほしいところがあるのだけれど、貴方が良ければ一緒に来てほしいの。 ダメ、かしら?」 卑怯だ。 卑劣で汚く意地悪な聞き方。 自分が可愛いことを知っていて俺が断れない聞き方をしている。 「少しだけなら、な。 家で小町が待ってるからな」 「ええ!」 不安そうな表情から一変、パァッと蕾が花咲くように明るくなった。 可憐な笑みに見惚れてしまったのはここだけの話。 「ねえ比企谷君」 「なんだよ」 結局『比企谷君』にしたんだなと、俺の返答は目の前を駆けていく小学生の集団によってかき消されてしまった。 「これから私のことは『雪乃』と呼びなさい」 「………………はっ?」 思考が停止すること数十秒。 小学生の集団が見えなくなった頃に思考が回復した。 パソコンに侵入してきたウイルスを撃退するほどの労力を使わされた感じだ。 「耳まで腐敗し始めたのかしら?」 「……いやいや、ちゃんと聞こえてるからな?」 「ならその締まりのない表情を止めてもらえるかしら、鳥肌が立ってしまうわ」 きょうのゆきのんひどーい。 遠くからそんな声が聞こえてくるほどに俺の頭はおかしくなってしまったらしい。 雪ノ下の事を雪乃と呼ぶ? 雪ノ下に限らず俺が他人を下の名前で呼ぶことなんてほぼほぼないのに、それどんな罰ゲームだよ。 俺を悶え死にさせたいの? 「私も貴方の事を……は、はちまん、って呼ぶから」 デレた。 デレなのか。 デレたよな? ツンデレもツンが大きければ大きいほどデレたときの衝撃が凄まじいものになる。 全身がくすぐったいような感覚になり、耳元でチェロの弦を震わせたように面映ゆく面をくらった。 「突然……何言ってんだよ」 「突然かしら? 貴方とは多くの時間一緒にいたと思うのだけれど……その、もう少し、親しくなっても良いと思うのよ」 雷鳴のごとく衝撃が降り注がれる。 海老名さんも今の雪ノ下を見れば鼻血を噴き出してしまうんじゃないかってほどに高揚感に包まれた。 この赤ら顔は寒さが原因じゃない。 帰り道の静けさと冷風がいつにも増して冷ややかだ。 「親しく、ってどういう意味だよ」 「そのままの意味よ」 「……つまり俺と?」 「ええ」 告白で間違いないよな。 ここでドッキリでしたーなんて展開になったら俺はもう誰も信じられない人間不信になる自信があるが、雪ノ下はそんなことをする奴じゃないと信じている。 比企谷八幡人生で初めての告白にどう返事をしていいのかわからない。 狼狽えていると雪ノ下が一歩近づいてくる。 これはもう、あれをするのか? 「けれど最終的な答えに辿り着くのはまだ、だと思うの。 私たちはまだ学生ですもの、卒業したらよろしくお願いね……は、はちまん」 最終的な答えとはなんぞや。 はちまん気になる。 それに雪ノ下が言っている卒業というのは高校卒業の事を指しているんだよな。 もしかして大学卒業とか言わないだろうな。 もうすぐとあと四年は大きく違うぞ。 「俺、まだ了承していないんだが、話を勝手に進めないでくれるか?」 「ならどうして微笑んでいるのかしら?」 「はっ、いま俺笑っていたか!?」 「ええ、とても不気味な笑みを浮かべていたわよ」 「そろそろ泣いてもいいか?」 「その時は私が慰めてあげるわ」 飴と鞭の使い方が上手いようで。 このやり取りもどこか心地良いと感じてしまう。 もっと話を進めたいところだが、それより気になることがあった。 「それより随分歩いたがどこに行こうとしてるんだ?」 「この事を報告にしようと、ね?」 「え、は、ちょ、それって、もしかして……え? 冗談だよね? 今ならドッキリって言っても許すぞ?」 「ふふ、私嘘つかないもの」 「いやいやいやいやいやいや、ってか俺まだ返事してないし、断る。 断るって言ったらどうするんだよ」 「……いや、なの?」 「……その聞き方はズルいぞ」 「ふふ」 もしかして俺はとんでもない過ちを犯してしまったのではないだろうか。 今から俺は地獄を味わうことになるだろう。 それは楽園ではなく魔王城という名の牢獄。 もし俺が勇者ならば無事に帰ることができるのだが、果たして俺に勇者の資質は備わっていたのかどうかはすぐにわかることになる。 完 あとがき 二人が向かった場所で八幡があった人物に言われたこと。 「私はあいつの尻に敷かれているからね。 君も気を付けてくれ」と一言。 「雪乃も私とタイプが似ているのね。 あの人も昔怯えたように両親へあいさつしていたわ」とか言われたとかいわれなかったとか? も一つ後日談 一色いろはが生徒会の仕事を終えて帰宅しようとしていたとき、校門付近で見慣れた人物を発見。 いろはは途端に機嫌がよくなりスカート舞うのなんのその、駆け足でその人物の元へと駆けよると何やら話し声が聞こえてきた。 見つからないよう聞き耳を立てていると段々いろはの機嫌が悪くなっていき、むむむと口を尖らせる。 後日いろははその人物を呼び出し、終いにはその人物と話していたもう一人の女性を呼び出し修羅場になったとかならないとか? おわり。

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俺の飲んだ芋焼酎紹介=は=

俺的 はちま

『 はちま起稿』とは、の一つである。 概要 関連のと、それに関するの反応をしていたの1つ。 関連のとしては内最大級の数を持つ。 「」「ねつ造」「」の温床とかれている。 略歴 初代・清水鉄平がの時()に『鉢巻起稿』を開設。 同年に『はちま起稿』に名 当初はの個人としてされており、開設半年後から順調に数を伸ばしには『ブロガーア』を受賞し注を浴びる。 時にはで生活ができるようになり1浪後にに受かるが進学をやめに上する。 当初はで運用されていたが、後年に移転し、にはのを取得する。 当時から関連のショナルな記事を多く扱っていたため いわゆる に関わっているのではないかと疑問視されていた。 個人情報の漏洩と謝罪 、 清水鉄平のがによって漏洩し清水鉄平はを宣言。 また、親がをに設立し、となっていたことも判明。 住んでいたの住所には得体のしれない物が送られたという。 その後の記事についてがあったことを一部認め謝罪しの運びとなったが、には清水鉄平が『記事の品質管理の維持』のためと言いを宣言。 2ch転載禁止 同年、当時のによって、悪質な書き込みを行っているのひとつとして、「オレ的速報」「はちま起稿」「」「即」「」が 書き込み禁止の処置を受ける。 以降、はちま起稿はのみの掲載か、自体ののまとめに留まるようになる。 書籍の発表 に 書籍「」を発表するも、の評価はが二つとなっている。 書籍ではのについての謝罪が載っている。 DMMへのバイアウト問題 、 「」が「 はちま 起稿」を所有・していたことを発表。 しかしには「」(玄坂)に売却を決めすでに了していたようで、売却額はわかっていない。 しかし()付けで発表したプによると、同社ははちま起稿の売却を決定しすでに売却を終えたことが判明。 の会社はわかっていない。 アフィ収益 書籍には、ので売れたの本数の5が記載されている。 初代『はちま起稿』 0に開設。 開停止を確認。 二代『はちま起稿』 0に開設。 08:00に終了宣言。 開停止を確認。 Twitter 管理者 関連項目• (から同年まではちま起稿をしていた)• (にはちま起稿をから譲り受けた。 その後に、既に売却したことを発表したが売却先は開しなかった) 脚注• adget.

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アニメ「俺ガイル」のキャラクター(登場人物)

俺的 はちま

「比企谷君」 不意に声がしたので顔を上げると夕日に照らされた雪ノ下の姿があった。 それもそのはず。 ここは奉仕部の部室だ、雪ノ下がいても何ら不思議ではない。 けれども見慣れたはずの烏の濡れ羽色ともいえる髪の毛が夕日に負けず美しく、思わず目が奪われてしまった。 「比企谷君?」 さらに雪ノ下は俺の名前を呼ぶ。 幾ら俺の性格が捻くれているのだとしても、目の前で知り合いから名前を呼ばれて無視するほど腐ってはいない。 「ぁんっ?」と、長い時間声を出していないせいで変な声が出た。 「比企谷君、いえ、違うわね」 さっきから雪ノ下は何を言っているのだろうか。 今日の雪ノ下はおかしい。 由比ヶ浜が来ないことを伝えた時も変な反応をしていたし、いつもなら下校時間まで雪ノ下から声をかけてくることはない。 偶に来客や依頼といった例外は存在するが、雪ノ下の方から砂漠に雪を降らせる様な行為はしないはず。 「比企谷……これも違う、八幡?」 いやいやいや、急に名前を呼ばれると変に意識しちゃうから止めてほしい。 独り言だとしてもこの距離で聞こえる独り言なんて聞いたことがない。 いや、実際に今聞いてるんだが、これは独り言であって独り言じゃない。 「おい、さっきから人の名前呼んで何がしたいんだ?」 「あら盗み聞き谷君。 同じ教室にいることが許されたからといって盗み聞きすることを許したわけではないのだけれど、死んだ魚のような目をしているのに随分と耳聡いのね」 盗み聞きという単語を辞書で調べてこい。 おそらく俺は無実だろうが、ここで言い返したところで雪ノ下に口論で勝つことは不可能だ。 舌先まで伸びていた言葉を紅茶と共に飲み込むことにした。 「名前を呼ばれたような気がしたんだが、俺の気のせいだったようだな」 再び本の世界へ飛び立とう。 そう思った瞬間、今度こそ明らかに俺へと投げかけられたであろう声のボリュームで名前を呼ばれた。 「比企谷君」 「……なんだ?」 「…………比企谷君?」 「いや、だから何だって。 俺の声聞こえてるよな?」 「馬鹿にしないでもらえるかしら。 ノイズが激しくてちょっと不愉快だっただけよ」 毒舌というよりただの悪口だ。 俺が空よりも寛大な心の持ち主じゃなかったら今頃キレて帰っている頃だろう。 だが俺もマゾじゃないんだから多少の苛立ちを覚える。 「…………ごめんなさい。 少し言い過ぎたわ」 「少しじゃないけどな」 表情の変化で少しは俺の気持ちを理解してくれるようになったところはここ一年で変わったところだろうな。 まあ最初から素直にしてくれればいいのだが、人間そう簡単に変われない。 「で、俺に何か用か?」 「用ってほどではないのだけれど」 「気になるから言ってくれ」 「……良いの?」 もったいぶられればもったいぶられるほど気になってしまうのが人間の性というやつである。 ここで「やっぱり何でもない」と言われた日には気になって眠れないまである。 「最近思うようになったのだけれど『比企谷』君ってガヤガヤしていて不快なのよ」 「ただの悪口だからなそれ」 「そうじゃないわ、呼び方の事。 『ひきがや』ってほら、濁音のせいかもしれないけれど呼ぶたびに違和感を抱いてしまうのよ」 「それなら『ゆいがはま』も濁音あるだろ」 「由比ヶ浜さんは特別よ」 何それズルい。 別に由比ヶ浜に嫉妬しているわけではないが、言い訳が拙すぎるだろ。 誤魔化すにしてももう少しましな言い方があっただろうに。 「それにだいたい貴方は私のこと呼び捨てで呼ぶくせに私だけ比企谷『君』と呼ぶのは不公平だと思うのよ」 「なら呼び捨てで良いだろ」 「それだともし私が貴方の事を比企谷と呼び捨てで呼んでいることを周りの人に知られでもしたら、私の印象が悪くなってしまうじゃない」 呼び方だけで印象が下がることはないと思うが、って雪ノ下でも周りの印象とか気にするんだな。 我が道を行く的な気にしない主義だと思っていた。 「じゃあ好きに呼べばいいだろ」 「……それをいま悩んでいたんじゃない。 ピンとくる呼び方が思いつかないのよ」 「呼びやすいように呼べばいいだろうに」 「…………比企谷、比企谷君、八幡……あなた」 そして自分に言い聞かせるように雪ノ下は一人の世界に入って行った。 途中『私の奴隷』『下僕』等、不穏な言葉が聞こえてきたが聞こえないふりをした。 残り少ない高校生活を平穏に過ごせるかは雪ノ下の常識性にかかっている。 結果、下校の時間まで雪ノ下が結論を出すことはなかった。 しかし部室を出て帰路につこうとした時、珍しく雪ノ下が俺の事を呼び止めてきた。 「その、途中まで、一緒に帰らないかしら?」 「は?」 「……今日は寒いもの」 理由になっていない。 確かに今日は寒いがそれとこれとは話が別だと思う。 「それに少し付き合ってほしいところがあるのだけれど、貴方が良ければ一緒に来てほしいの。 ダメ、かしら?」 卑怯だ。 卑劣で汚く意地悪な聞き方。 自分が可愛いことを知っていて俺が断れない聞き方をしている。 「少しだけなら、な。 家で小町が待ってるからな」 「ええ!」 不安そうな表情から一変、パァッと蕾が花咲くように明るくなった。 可憐な笑みに見惚れてしまったのはここだけの話。 「ねえ比企谷君」 「なんだよ」 結局『比企谷君』にしたんだなと、俺の返答は目の前を駆けていく小学生の集団によってかき消されてしまった。 「これから私のことは『雪乃』と呼びなさい」 「………………はっ?」 思考が停止すること数十秒。 小学生の集団が見えなくなった頃に思考が回復した。 パソコンに侵入してきたウイルスを撃退するほどの労力を使わされた感じだ。 「耳まで腐敗し始めたのかしら?」 「……いやいや、ちゃんと聞こえてるからな?」 「ならその締まりのない表情を止めてもらえるかしら、鳥肌が立ってしまうわ」 きょうのゆきのんひどーい。 遠くからそんな声が聞こえてくるほどに俺の頭はおかしくなってしまったらしい。 雪ノ下の事を雪乃と呼ぶ? 雪ノ下に限らず俺が他人を下の名前で呼ぶことなんてほぼほぼないのに、それどんな罰ゲームだよ。 俺を悶え死にさせたいの? 「私も貴方の事を……は、はちまん、って呼ぶから」 デレた。 デレなのか。 デレたよな? ツンデレもツンが大きければ大きいほどデレたときの衝撃が凄まじいものになる。 全身がくすぐったいような感覚になり、耳元でチェロの弦を震わせたように面映ゆく面をくらった。 「突然……何言ってんだよ」 「突然かしら? 貴方とは多くの時間一緒にいたと思うのだけれど……その、もう少し、親しくなっても良いと思うのよ」 雷鳴のごとく衝撃が降り注がれる。 海老名さんも今の雪ノ下を見れば鼻血を噴き出してしまうんじゃないかってほどに高揚感に包まれた。 この赤ら顔は寒さが原因じゃない。 帰り道の静けさと冷風がいつにも増して冷ややかだ。 「親しく、ってどういう意味だよ」 「そのままの意味よ」 「……つまり俺と?」 「ええ」 告白で間違いないよな。 ここでドッキリでしたーなんて展開になったら俺はもう誰も信じられない人間不信になる自信があるが、雪ノ下はそんなことをする奴じゃないと信じている。 比企谷八幡人生で初めての告白にどう返事をしていいのかわからない。 狼狽えていると雪ノ下が一歩近づいてくる。 これはもう、あれをするのか? 「けれど最終的な答えに辿り着くのはまだ、だと思うの。 私たちはまだ学生ですもの、卒業したらよろしくお願いね……は、はちまん」 最終的な答えとはなんぞや。 はちまん気になる。 それに雪ノ下が言っている卒業というのは高校卒業の事を指しているんだよな。 もしかして大学卒業とか言わないだろうな。 もうすぐとあと四年は大きく違うぞ。 「俺、まだ了承していないんだが、話を勝手に進めないでくれるか?」 「ならどうして微笑んでいるのかしら?」 「はっ、いま俺笑っていたか!?」 「ええ、とても不気味な笑みを浮かべていたわよ」 「そろそろ泣いてもいいか?」 「その時は私が慰めてあげるわ」 飴と鞭の使い方が上手いようで。 このやり取りもどこか心地良いと感じてしまう。 もっと話を進めたいところだが、それより気になることがあった。 「それより随分歩いたがどこに行こうとしてるんだ?」 「この事を報告にしようと、ね?」 「え、は、ちょ、それって、もしかして……え? 冗談だよね? 今ならドッキリって言っても許すぞ?」 「ふふ、私嘘つかないもの」 「いやいやいやいやいやいや、ってか俺まだ返事してないし、断る。 断るって言ったらどうするんだよ」 「……いや、なの?」 「……その聞き方はズルいぞ」 「ふふ」 もしかして俺はとんでもない過ちを犯してしまったのではないだろうか。 今から俺は地獄を味わうことになるだろう。 それは楽園ではなく魔王城という名の牢獄。 もし俺が勇者ならば無事に帰ることができるのだが、果たして俺に勇者の資質は備わっていたのかどうかはすぐにわかることになる。 完 あとがき 二人が向かった場所で八幡があった人物に言われたこと。 「私はあいつの尻に敷かれているからね。 君も気を付けてくれ」と一言。 「雪乃も私とタイプが似ているのね。 あの人も昔怯えたように両親へあいさつしていたわ」とか言われたとかいわれなかったとか? も一つ後日談 一色いろはが生徒会の仕事を終えて帰宅しようとしていたとき、校門付近で見慣れた人物を発見。 いろはは途端に機嫌がよくなりスカート舞うのなんのその、駆け足でその人物の元へと駆けよると何やら話し声が聞こえてきた。 見つからないよう聞き耳を立てていると段々いろはの機嫌が悪くなっていき、むむむと口を尖らせる。 後日いろははその人物を呼び出し、終いにはその人物と話していたもう一人の女性を呼び出し修羅場になったとかならないとか? おわり。

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