ペイシェント ジャーニー。 CSO事業 のアプローチ

ペイシェント・ジャーニー(Patient Journey)と病院経営

ペイシェント ジャーニー

こんにちは。 阿南です。 近年、マーケティングの領域では 「カスタマージャーニー」というマーケティング手法が注目を浴びています。 この カスタマージャーニーとは、顧客の心理や行動を理解する上で使われる手法です。 顧客志向や広告メディアが多様化・複雑化する現在のビジネス環境では、顧客の心理や行動をきっちりと理解してマーケティング戦略を立案することは成功の前提条件です。 この顧客志向や広告メディアが多様化・複雑化していることは医療においても同様であり、すなわち医療のマーケティングにおいてカスタマージャーニーを水平展開することが可能です。 そこで今回は 医療におけるカスタマージャーニーを「ペイシェントジャーニー」と名付け、その内容やメリットなどを特集します。 ペイシェントジャーニーとは何か ペイシェントジャーニーとは、患者がクリニックを受診して、受けた治療内容を評価するまでの動きを時系列で表現したものを意味します。 患者の動きを行動と心理、広告の接触ポイントの3つの視点で見える化することで、患者に対して適切な広告媒体を選び、適切な広告メッセージを伝えることができます。 近年は、医療においても患者の広告メディアとの接触が多様化しています。 以前はTVやラジオ、新聞、雑誌など4大メディアが主流でしたが、現在はWebを中心に情報チャネルが増え、患者が主体的に情報を取得できるようになりました。 言い換えるなら治療を選択する上で、「医療機関>患者」の立場であった構図が、「医療機関<患者」の構図に変化しているのではないでしょうか。 そのため、医療機関は広告活動においてもより患者の視点で行っていく必要があります。 具体的には、 患者の消費者行動をふまえた上で広告の接触ポイントを設計し、患者の心理状態にあわせて広告メッセージを発信する必要があります。 そのような背景の現在においては、患者の立場を理解するためのマーケティング手法「ペイシェントジャーニー」は非常に有用なツールといえます。 ペイシェントジャーニーのメリット メリット1:患者視点で広告を作ることができる 患者が受診し、治療を評価するまでの動きを見える化することで、患者視点で広告を考えることができ、その結果、患者の感情に響く広告を作ることができます。 広告では、よくよく広告主が伝えたいメッセージを発信しがちです。 特に治療を提供する側(医療機関)と治療を受ける側(クリニック)のリテラシー(治療に対する知識)に大きな差がある医療においては、その傾向が他業界に比べてより顕著です。 リテラシーが高い治療を提供する側が一度治療を受ける患者側の立場まで知識レベルを落とし、理解することでより患者に響く広告戦略を立案することができます。 いくら医学的に優れた内容を発信したとしても患者に響く広告を打てないのであれば、その広告は広告主の自己満足にしかすぎません。 メリット2:広告の実施判断の基準ができる ペイシェントジャーニーによって患者のことを深く理解できれば、広告会社からの広告提案に対して明確な基準を持って速やかに実施の判断を行うことができます。 メリット3:広告戦略の強みと弱みを把握できる ペイシェントジャーニーは患者の動きを時系列で捉え、カテゴリーで分類して考える側面を持っています。 すなわち患者の動きをカテゴリーで分け、そのカテゴリーに対する現状の広告の打ち手を並べれば、 広告戦略における強みと弱みが分かります。 例えば、患者の動きのカテゴリー分けをマーケティングのフレームワーク「5A」で捉えた場合を過程します。 その場合で広告戦略の分析を行った場合は、広告の資源配分が認知に偏っている、資源配分は均等に行えている、患者の治療評価の推奨行動に対する喚起広告ができてない、などが分かるわけです。 この特徴とは診療科目などの基本情報はもちろんのこと、競合クリニックとの差別化ポイントや診療圏内における市場のポジションなど経営的視点の特徴をまとめることも重要となります。 このペルソナ設定は非常に重要で、このペルソナ設定を誤るとその後に作成するペイシェントジャーニーにも大きなブレが生じます。 このカテゴリー分けの仕方については、マーケティングのフレームワークの「5A」や「AISAS」を用いても構いませんし、独自の切り口でカテゴリーを分類しても問題ありません。 この分析作業を行うことで患者のことをより深く理解することができます。 最後に行う作業は 分析内容をふまえて対応策を考え、実行することです。 一連の分析作業を通じて患者のことを深く理解することができているわけですから、効果的な対応策もスムーズに出てきます。 後は その対応策を実施して、検証し、改善する「PDCAサイクル」を回すのみです。 ペイシェント・ジャーニーの事例 それでは最後に ペイシェント・ジャーニーの事例について取り上げます。 事例として、取り上げるのは私が経営企画職として所属している岡山市の鼠径ヘルニア日帰り手術専門クリニック「Gi外科クリニック」の事例です。 このGi外科クリニックでは、患者の受診し、治療を評価するまでの一連の動きをマーケティングのフレームワーク「5A」でカテゴリー分けをした上で、各カテゴリーを患者行動、広告との接触ポイント、患者の感情変化(心理)で分析しています。 ペイシェント・ジャーニーを作って分かったことは「診療圏内で鼠径ヘルニアの治療においてマーケットリーダーであるGi外科クリニックの広告戦略では、さらに認知と訴求の分野での広告活動を強化すること。 広告活動の強化においては接触ポイントを多様化することです」。 分かったことをふまえての具体的な広告施策については情報管理上、開示ができませんが、認知と訴求の分野における広告との接触ポイントの見直しを行っています。 また従来は認知と訴求の分野における広告メッセージが同一の内容となっていましたが、患者の心理を考え、認知と訴求の広告メッセージを分けて発信するよう変更しました。 その結果、新患の増加に繋がり、集患において大きな成果に結びついています。 この記事では、 医療版カスタマージャーニーである「ペイシェントジャーニー」の有用性をご紹介しました。 ペイシェントジャーニーは患者視点に立った広告を考える上で必須のツールであり、活用すればより成果に繋がる広告を行うことができます。 特に 「患者の動きのどの分野に広告を打つかの選定」、「患者の行動に沿った広告接触ポイントの選定」、「患者の感情変化を起こす広告メッセージの選定」を適切に行うことができます。 ぜひ「ペイシェントジャーニー」を活用して、成果に繋がる集患活動を行っていただければと思います。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次の

「ペイシェントジャーニー」を把握しておく理由

ペイシェント ジャーニー

患者との接点における体験を最適化するためのコミュニケーションデザイン・ツール 弊社は医療病院広報・PRなどマーケティング支援サービスを患者のニーズ・接点とプロセスを分析し各患者のペイシェント・ジャーニー「 Patient Journey 」に対応する効果的な広報・PRを提供しております。 近年ペイシェント・ジャーニー「 Patient Journey 」の必要性について、製薬企業だけでなく医療システムを提供する医療機関において認識されています。 ペイシェント・ジャーニー「 Patient Journey 」の背景について考えてみました。 患者満足を向上させ、納得する医療を提供するうえで過去に次のような言葉が使われて来ました。 患者志向の医療• 患者視点の医療• 患者中心の医療• 患者主体の医療 これらは病院経営理念の中でも使われていますが、その具体的内容については明確な定義、プロセスやゴールは明示されていません。 従ってイメージはできますが、具体的に経営及び広報・PRに落とし込むには課題があります。 また患者のインサイトを考えるうえでAIDMAやAISASの変型バージョンから認知・関心・行動などのプロセスを表現している利用しているケースも見られます。 しかしこれらはソーシャルメディアや行動経済学の前の考え方なので、現状に合わせるにはさらに経験と工夫が必要となります。 例:厚生労働省 現在厚労省が進めている は利用者の視点に立った効率的で、安心かつ質の高い医療の提供」に必要な「医療の選択に資する情報の提供の推進」とありますが、利用者の視点、その目的は何でしょうか? 患者に医療を提供する時に ペイシェント・ジャーニーは患者が健康な時点から、罹患後の検査や治療、そして終末期までのプロセス(旅路に例える)およびそのときの医療的、心理的、経済的行動、社会的な患者体験 Patient Experience への対策を検討することができ、患者の理解や治療への参加する気持ちを高めるツールとしてあります。 さらに医療提供側にとっては、 ペイシェント・ジャーニーは患者を理解し、円滑な意思決定を得る時や具体的な施策を検討するときに必要です。 特に病院のシステムや枠組みを考えたり、働き方を考えるときに医療機関の都合を考えると一方的なものとなり患者とのコミュニケーションがうまくいかないことがあります。 この場合はさらに生産性は下がってしまいます。 すなわち ペイシェント・ジャーニーはマーケティング・PRの視点というよりは医療・介護関係者が患者の情報を共有、円滑な意思決定をもたらすことで患者の信頼獲得と生産性向上を目的とするツールです。 具体的には ペイシェント・ジャーニーは病院の全ての部門の患者との接点(直接の応対のみならず広報のように間接的な対応を含む)を検討し解決を推進します。 例えば患者との接点で、良い患者体験(ペイシェント・エクスペリエンス)を提供すれば、患者満足度だけでなくエンゲージメントも得られます。 そして必要な全ての医療情報、病歴、社会歴、家族歴、薬歴や個人の好みなどの情報が得られれば、患者との信頼構築・満足度向上の改善に向けて必要情報を発信・提供することが可能となります。 そして想定されたペイシェント ジャーニーによって患者エンゲージメント Patient Engagement を獲得から発展して病院の良い口コミを発信する「病院大使」になることが目的です。 即ち患者中心の医療を提供するうえでも有効なツールと考えられています。 製薬企業や医療機器、医療材料企業も同様に直接患者と関わらなくても、患者とのエンゲージメントを高めることで医療従事者の認知が向上します。 さらにペイシェント・ジャーニーを経営戦略に入れることによって、認知だけでなくマーケティング上の優位を得ることが可能です。 ペイシェント・ジャーニー(Patient Journey)と広報・PR さてペイシェント・ジャーニー(Patient Journey)はマーケティング・広報・PRにおいてどのような意味があるのでしょうか。 ペイシェント・ジャーニー(上図参照)は患者が病気を告知されたときから終末期、看取り、または完治までに患者が体験 Patient Experience する医療提供者とのすべての接点を旅に例えた名称です。 各患者を心理学的、経済学的、社会行動学的にとらえることで、そのときに医療提供側が必要な情報や医療を提供することで信頼され、患者の選択や意思決定を円滑にすることを目指しています。 しかし、によれば、多くの医療機関や製薬企業においてペイシェント・ジャーニーが活かされておらず、患者のインサイトは捉えられていないとされています。 患者の意思決定を促すためにヘルスリテラシーを高めるだけでなく、同時に患者エンゲージメントを得る枠組みを構築してくことが不可欠です。 このことが具体的に患者の行動変容を促すことになります。 患者エンゲージメントといっても患者は可能な限り自身で判断しますが、それができないときには直ぐに医師に相談できるような関係です。 そのためにホームページを中心とするデジタルメディア、例えばTwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアの利用が不可欠となります。 広報・PR担当者が適切な時宜にかなった情報を患者に提供することで、下記のような効果が期待できます。 認知度の向上• ヘルスリテラシーの向上• 信頼の構築• アドヒアランスの向上• 患者の意思決定支援• アドボケーターとして応援• 患者満足度向上とエンゲーメント向上• さらに患者だけでなく関連するすべてのステークホルダーにソリューションを提供できます。 【対応方法】 現在はホームページのアクセスデータを始めとして経営データ、患者の苦情情報、組織の部門間のコミュニケーションなどのビッグデータと分析からペイシェント・ジャーニーを予測しデザインすることができます。 単に患者をカテゴライズするのではなく「それぞれの患者」の要望に対応しようとするのがマーケティングにおけるペイシェント・ジャーニーです。 即ち患者がホームページの情報を見るときに、メニューや検索機能を使って必要な情報を探します。 ここで患者が使用した検索キーワードから何を求めているかが推測されます。 ホームページに記載された情報に満足すれば、そこから医療機関に電話をかけたりメールで問い合わせをしたりします。 このように患者の行動変容を促すような情報を提供することで、より確実に自院を利用する患者に届くようになります。 このようなプロセスを経て患者は医療機関に関心だけでなく愛着を持つことになり、さらに満足度は改善されます。 受診結果が予測したものと同じであれば、患者は医療機関に高いロイヤリティーを持つことになり継続的な受診、および円滑な関係構築が可能となります。 患者が医療機関のサービスを通した体験で、医療サービスに興味・関心をもち、愛着や信頼を醸成する仕組み構築が可能になり、さらには患者が医療・福祉機関への信頼を持つことでより積極的に治療に加わることで信頼関係の強化ができます。 このツールは病院広報・PRのみならず病院関係者が患者へのサービスを考えるうえでも寄与します。 さらにペイシェント・ジャーニーは高い患者のロイヤリティ(治療継続や積極的な伝道師役)や高い生産性を目指すために、データ分析、IoT Internet of Things 、AI人工知能、ウェアラブルデバイスなどの導入を促進することで広報の自動化や効果的な運用が検討されています。 このように書くと、理想論とする考え方も出てくることも理解しています。 しかし上記の内容を一人で受け止めるのではなく社会、または組織で取り組むことで実行に移せます。 すでに クリーブランド・クリニック、ジョーンズ・ホプキンス大学をはじめとする医療機関では始まっており成果が上がっています。 【ペルソナとペイシェント・ジャーニーの違い】 マーケティングにおいて「ペルソナ」が必要だと言われて久しいですが、医療関係ではまだ浸透していません。 ペルソナは医療機関関係者が患者(または採用時の看護師・医師)の人物像(経歴・思考など)を理解することで医療機関との距離感が少なくしようとしています。 患者がこのような情報に触れた時には、自分ごと化しやすく、短時間に関心が高まります。 ペルソナとペイシェント・ジャーニーの違いは治療や療養の場面での患者体験(ペイシェント・エクスペリエンス)を積み重ねることによって、ペイシェント・ジャーニーは進んでいきます。 ペイシェント・ジャーニーは患者の状態を時間軸と行動心理学的な縦軸での連続的な変化を合わせて検討できるツールです。 一方ペルソナ(persona)は典型的な患者または医療機関を利用するユーザー像のことです。 従って特定(限定)された患者の属性を考えたうえで、決まった手順の中でどのように反応するかを想定して準備します。 医療にどのように反応するかを想定して準備しますので、プロセス上の接点(ペイシェント・エクスペリエンス)で、患者がどのように行動するかにフォーカスしているということになります。 【最後に】 ペイシェント・ジャーニーにおける患者とのコミュニケーションは、医療機関に来る前から始まっています。 さらに診療を終わっても継続している状態ですので、従来の病院広報の対象よりも広くなります。 このように患者との情報のやりとりを継続することは患者に差別化する理由を提供することにつながります。 製薬・医療機器など医療関連企業にとって既存の製品サービスの延長線上の製品・サービスからのブレークスルーを探し、展開する上でマーケティングだけでなく営業部門、サービス部門のとの連携を企業のコミュニケーション・エンジンとするうえで重要です。 これらから製品・サービスを強化することも可能です。 新型コロナウィルス(COVID-19 禍で医療機関と患者はその行動に変化が出ております。 このことはペイシェント・ジャーニーにも変化を与えており、患者も受診に不安を抱えていますので「新しい形の医療提供とその広報PR)を再検討しておくことをお奨めします。

次の

武田薬品とPwC、PwCのモデリング・シミュレーション技術「Bodylogical®」を活用し、クローン病向けアプリケーション開発のためのプロジェクトを開始

ペイシェント ジャーニー

新しい「くすりの候補」を「くすり」として世に送り出すためには、治験で「くすり」としての可能性を確認する必要があり、患者さんのご理解とご協力が欠かせません。 この取り組みを通じて、患者さんに治験を含む医薬品開発について理解を深めていただき、開発計画などを立てる時期から患者さんが参画する機会をつくり、治験に参加する際の患者さんの負担軽減などにより、医薬品開発がすみやかに進み、患者さんに1日でも早く新たな治療選択肢を提供できるようにすることをめざしています。 患者さんの医薬品開発に関する認識を高める(Patient Awareness 、患者さんの治験へのアクセスを改善する(Patient Access 、患者さんの経験を生かす(Patient Experience)ことを取り組みの柱としています。 以下にその事例を紹介します。 この共同声明には、外部の研究者の要求に応じた試験データの提供や、治験の報告書を一般の方が確認できるウェブサイトで公開することが含まれています。 ファイザーは、この声明に従って活動しており、「治験結果のまとめ」の提供もそのひとつです。 私たちはこの活動を通じて、治験に参加くださった患者さんへ治験の結果の概要だけでなく、治験に協力いただいたことへの感謝をお伝えしたいと考えています。 そして、治験への理解や社会からの信頼が得られるよう活動を継続していきます。 ペイシェント・ジャーニー・ワークショップ ペイシェント・ジャーニー・ワークショップとは、患者さんとそのご家族から話を伺い、日々の生活を旅(ジャーニー)に例え、患者さんとそのご家族がどのように病気に向き合い、予防したり、病院で治療したりする中、気持ちの変化や経験をグラフィックスを用いて表すワークショップです。 患者さんやご家族がどのような悩みを抱え、何を不便と感じているのかを理解することにより、真に求められる医薬品とその開発のあり方を追求したいと考えています。 ペイシェント・インサイト・ワークショップ ペイシェント・インサイト・ワークショップとは、特定の治験について患者さんのご意見をいただくワークショップです。 治験実施計画書や同意説明文書などの内容について、患者さんの意見を収集し治験に活かします。 特にこれまで開発を行ったことがない病気や新しい方法の治験で企画していく予定です。 治験における新しい取り組み(イノベーション) ファイザーでは治験における新しい取り組みとして、医療機関への通院に縛られない治験(ロケーション・フレキシブル・トライアル)や治験の一部を在宅で行うことを可能とするアプローチ(ホーム・ビジット)を進めています。 これは患者さんが治験に参加するにあたり、どこで、どのように、参加されるかの選択肢を増やし、治験参加の自由度を上げる取り組みです。 まだ始まったばかりですが、患者さんの声を最大限に活かして負担を軽減し、参加しやすい治験を展開していきたいと考えています。 ホーム・ビジットの一例 患者さんに直接治験薬などを送ったり、患者さんから直接検体を回収することにより、通院回数を減らす取り組みを検討中です。 電子的同意取得 従来の紙による同意説明文書に代わって、患者さんの目線に立ち、画像・アニメーション・音声などを利用したより分かりやすい電子的な同意説明文書を用いた同意取得を一部の治験で取り入れています。

次の