パテント クリフ。 製薬業界大手アステラス製薬(4503)を分析!特許切れの影響は株価見通しへ影響。

パテント・クリフ(特許の崖)

パテント クリフ

特許の崖・パテントクリフとは? 新たに知財担当者となった方、特に製薬業界の知財担当者が知っておくべき特許用語が 『パテントクリフ』です。 パテントクリフとは、日本語に直訳すると 「特許の崖」という意味です。 特許の存続期間は出願から20年という縛りがありますが、存続期間が終了すれば市場の独占状態が終了してしまい、特許を活用した製品やサービスによる収益が崖から転落するかのごとく下落します。 このことから、特許の存続期間が終了し、収益が激減することが予測される時期のことを 「特許の崖=パテントクリフ」と呼ぶようになりました。 特許の取得には、長い研究期間や莫大な投資を伴うことが多く、特に製薬業界では一つの新薬(製品)を開発するために莫大なコストを要する上に、一つの新薬を守る基本特許、つまり有効成分に対する特許は一つであるため、パテントクリフの到来によって様々な問題を引き起こすことになり、 場合によっては会社の経営をも左右する事態になりかねません。 タイミングの良い新薬の開発でパテントクリフを攻略 製薬業界においては様々な問題を引き起こすパテントクリフですが、 パテントクリフの攻略における好事例を示したことで有名なのが第一三共です。 第一三共は、高脂血症の対抗薬であるメバロチンによって大きな利益を得ていましたが、パテントクリフの到来によって、 最大で2,000億円もあった売上げが330億円にまで激減しました。 もし第一三共がメバロチンの売上げだけに頼っていれば大打撃を受けたことは間違いなかったのですが、第一三共は既にパテントクリフの到来、つまり メバロチンの特許存続期間終了に照準を合わせて高血圧の治療薬である新薬オルメティックの投入を進めていたのです。 特許の存続期間終了に合わせて新薬を投入することで、第一三共はパテントクリフ到来による大打撃を回避、見事に攻略を果たしました。 特にジェネリック製品による追い上げがすべからく訪れる製薬業界においては、 タイミングよく新薬を投入することでパテントクリフを攻略する経営戦略が必須となります。 製薬業界だけに限らず、知財担当者は、自社が所有する特許の存続期間を把握しつつ、パテントクリフの到来に照準を合わせてパテントクリフを無事に通過するための新たな知財を編み出す戦略に目を向ける必要があることを覚えておきましょう。 迫りくるパテントクリフを攻略する方法とは 特許ビジネスで収益を獲得している企業は、確実に訪れるパテントクリフを攻略する必要があります。 過去最高の収益を記録したアステラス製薬は、近年のうちに主力の医薬品が次々と特許切れになるため、新薬の開発に向けて研究設備に140億円もの大金を投資しました。 さらに、米国の子会社への投資を縮小して研究活動を終了させることで、研究費用の大幅な削減を実現しています。 パテントクリフの攻略には、アステラス製薬が選んだように新薬の開発という前進的な戦略と投資縮小という経費削減の両方向からの対策が重要でしょう。 近い将来にパテントクリフが訪れるため対策を検討しているという企業は、自社内で会議をかさねるだけでなく、知的財産のプロフェッショナルである弁理士に相談しましょう。 新規に開発・研究している発明を知的財産ビジネスとしてどのように活用するのかを専門的に分析できるほか、既存特許の活用方法や縮小の判断まで、幅広いアドバイスが受けられるでしょう。 特定の特許だけに目を向けるのではなく、自社が保有する特許全体をみわたして総合的な知的財産サービスのコンサルティングが可能です。 近く、パテントクリフの到来によって自社の知的財産ビジネスに転換期が訪れることが予想されるのであれば、信頼できる特許事務所を探して弁理士のサポートを受けることをおすすめします。

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迫る特許切れ “特効薬”はM&A―大日本住友 買収・導入を積極展開

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アステラス製薬とは アステラス製薬は国内医薬品メーカーであった、山之内製薬と藤沢薬品が2005年に合併したことで発足した企業です。 国内メーカーですが、海外にも複数の拠点を持つ大企業であり欧米を中心に海外でも幅広く販売を行っています。 特に泌尿器分野に強く同分野の主力製品は年間売上高2,000億円を大きく超えており、欧米でも高いシェアを獲得しています。 アステラス製薬の事業 アステラス製薬は医薬品事業のみを行っており、医薬品の売上=会社の業績となります。 アステラス製薬の主力医薬品について確認していきます。 XTANDI イクスタンジ 前立腺がん治療剤であるイクスタンジは、前立腺がんの成長に必要な受容体の伝達を阻害します。 結果的にがん細胞の増殖を抑制し自滅を誘導する治療薬です。 世界の約70の国と地域で販売されており、年間売上は3300億円に達するアステラス製薬の主力薬品となっています。 ベシケア ベシケアは過活動膀胱治療剤として約80の国と地域で販売されています。 膀胱平滑筋の受容体をブロックすることで膀胱平滑筋を弛緩させ、過活動膀胱に伴う頻尿などの諸症状を改善する医薬品です。 年間売上高は950億円となっています。 ベニタス、ミラベトリック、ベットミガ ベニタス、ミラベトリック、ベットミガは全て同一薬品で、販売地域によって製品名が異なっています。 約50の国と地域で販売されているベシケア同様過活動膀胱治療剤です。 年間売上高は1500億円近いアステラス製薬の主力製品の一つとなっています。 プログラフ他 プログラフ、アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLは全て臓器移植による拒絶反応の抑制などの治療に使用される免疫抑制剤です。 約100の国と地域で販売されており、年間2000億円近く売り上げています。 これら主力製品による2019年3月期の合計売上高は7700億円を超えてています。 アステラス製薬全体の売上の半分以上を占める名実ともに業績を左右する主力製品と言えます。 アステラス製薬の過去 10年の業績推移 アステラス製薬の過去10年間の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は下記のとおりです。 営業利益、経常利益、純利益とも多少の波はありますが、安定した業績が見て取れます。 2009年、2010年などの世界的な金融危機による不況で多くの大企業が赤字となった年もしっかりと利益を出しています。 製薬業界の特徴として景気に業績が左右されにくいという点があります。 景気が悪くなろうが、様々な治療はストップするわけにはいきませんからね。 アステラス製薬は不況期にも強いディフェンシブ銘柄と言えるでしょう。 ただ、医薬品には特許期間というものがあります。 特許が切れた後は他社が同じ成分を持つ安価な薬を次々と販売するため特許が切れた薬の売上は急激に落ち込みます。 他社が後発で販売する同成分の薬をジェネリック医薬品と言います。 医療費を抑制したい政府としてもジェネリック医薬品を勧めており今後もジェネリック医薬品の販売は増していくと考えられます。 ジェネリック医薬品は、特許が切れた薬の公開された特許を活用するので、研究開発費がほとんど不要となり、安価で販売することが可能です。 このように医薬品メーカーの業績は主力製品の特許切れにより大きく落ち込むことがあり、これをパテントクリフ(特許の崖)と言います。 実際、アステラス製薬の業績が2018年に落ち込んでいるのは特許切れの影響が大きな要因です。 2019年度も主力製品であるベシケアの他複数の医薬品の特許が切れることになっており、今期見通しは減収減益となっています。 医薬品メーカーも主力製品の特許がいつ切れるのかはもちろん把握しております。 主力製品の特許切れの前に次の主力製品を開発できるように積極的に研究開発を行っています。 医薬品の研究開発には安全性の確認を取る必要があり多大な時間と費用がかかります。 他業種に比べ研究開発費が高額であるのが医薬品メーカーの特徴の一つです。 アステラス製薬の過去10年の業績推移(EPS、BPS) アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 EPSは前述の特許切れの影響などもあり波がありますが、しっかりとプラスを維持しています。 BPSは安定していますが、近年伸びがストップしていることがわかります。 アステラス製薬の過去10年のROEとROA 下記はアステラス製薬の過去10年のEPS、BPSです。 ROE、ROA共に2011年~2014年は低下していますが、それでもROE7%以上、ROA5%以上となっています。 業績が好調で無い時期でも高い収益力を持つことが読み取れます。 基本的にはROEは10%を大きく上回る水準、ROAは8%を上回る水準で推移しています。 アステラス製薬の生産性、収益力は高水準といえるでしょう。 アステラス製薬のPERとPBRの推移 アステラス製薬のPER及びPBRは下記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 アステラス製薬のPER及びPBRは上記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 同業他社と比較するとアステラス製薬のPERが15. 2倍、PBRが2. 19倍なのに比べ、 エーザイはPER25. 4倍、PBR2. 91倍、第一三共がPER47. 3倍、PBR2. 72倍で比較的割安と言えます。 武田薬品工業は大型買収により、業績が大きく変動していますので比較しても分析にはなりません。 アステラス製薬の配当利回り アステラス製薬の配当利回りの推移です。 2%~2. 8%の間を推移しており、現在は過去3年の高値付近で推移しています。 といっても、高配当銘柄とよべるほどの利回り水準ではありませんので業績を見極めて投資判断を行うことが必要です。 アステラス製薬の投資判断 アステラス製薬の株価は2019年6月4日現在1,495円となっています。 PERは15倍程度、PBRは2. 2倍程度の水準です。 PERは同業他社と比べるとやや割安といった水準ですが、市場平均と比べると割安とは言えません。 今期業績予想が主力製品の特許切れにより減収減益を予想しており、安易な買いは控えるべきでしょう。 来期以降、特許切れ製品に代わる新製品などが出てくるかが注目点です。 アステラス製薬は歴史ある製薬会社でこれまでもパテントクリフを乗り越えてきていますので、来期以降で増収増益に転じる可能性は十分あります。 今後、新薬の開発あるいは既存製品のシェア拡大がどの程度進むのかが業績を左右する重要点となりますので、情報開示などをしっかり確認していく必要がある企業です。

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特許の崖(パテントクリフ):日経バイオテクONLINE

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アステラス製薬とは アステラス製薬は国内医薬品メーカーであった、山之内製薬と藤沢薬品が2005年に合併したことで発足した企業です。 国内メーカーですが、海外にも複数の拠点を持つ大企業であり欧米を中心に海外でも幅広く販売を行っています。 特に泌尿器分野に強く同分野の主力製品は年間売上高2,000億円を大きく超えており、欧米でも高いシェアを獲得しています。 アステラス製薬の事業 アステラス製薬は医薬品事業のみを行っており、医薬品の売上=会社の業績となります。 アステラス製薬の主力医薬品について確認していきます。 XTANDI イクスタンジ 前立腺がん治療剤であるイクスタンジは、前立腺がんの成長に必要な受容体の伝達を阻害します。 結果的にがん細胞の増殖を抑制し自滅を誘導する治療薬です。 世界の約70の国と地域で販売されており、年間売上は3300億円に達するアステラス製薬の主力薬品となっています。 ベシケア ベシケアは過活動膀胱治療剤として約80の国と地域で販売されています。 膀胱平滑筋の受容体をブロックすることで膀胱平滑筋を弛緩させ、過活動膀胱に伴う頻尿などの諸症状を改善する医薬品です。 年間売上高は950億円となっています。 ベニタス、ミラベトリック、ベットミガ ベニタス、ミラベトリック、ベットミガは全て同一薬品で、販売地域によって製品名が異なっています。 約50の国と地域で販売されているベシケア同様過活動膀胱治療剤です。 年間売上高は1500億円近いアステラス製薬の主力製品の一つとなっています。 プログラフ他 プログラフ、アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLは全て臓器移植による拒絶反応の抑制などの治療に使用される免疫抑制剤です。 約100の国と地域で販売されており、年間2000億円近く売り上げています。 これら主力製品による2019年3月期の合計売上高は7700億円を超えてています。 アステラス製薬全体の売上の半分以上を占める名実ともに業績を左右する主力製品と言えます。 アステラス製薬の過去 10年の業績推移 アステラス製薬の過去10年間の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は下記のとおりです。 営業利益、経常利益、純利益とも多少の波はありますが、安定した業績が見て取れます。 2009年、2010年などの世界的な金融危機による不況で多くの大企業が赤字となった年もしっかりと利益を出しています。 製薬業界の特徴として景気に業績が左右されにくいという点があります。 景気が悪くなろうが、様々な治療はストップするわけにはいきませんからね。 アステラス製薬は不況期にも強いディフェンシブ銘柄と言えるでしょう。 ただ、医薬品には特許期間というものがあります。 特許が切れた後は他社が同じ成分を持つ安価な薬を次々と販売するため特許が切れた薬の売上は急激に落ち込みます。 他社が後発で販売する同成分の薬をジェネリック医薬品と言います。 医療費を抑制したい政府としてもジェネリック医薬品を勧めており今後もジェネリック医薬品の販売は増していくと考えられます。 ジェネリック医薬品は、特許が切れた薬の公開された特許を活用するので、研究開発費がほとんど不要となり、安価で販売することが可能です。 このように医薬品メーカーの業績は主力製品の特許切れにより大きく落ち込むことがあり、これをパテントクリフ(特許の崖)と言います。 実際、アステラス製薬の業績が2018年に落ち込んでいるのは特許切れの影響が大きな要因です。 2019年度も主力製品であるベシケアの他複数の医薬品の特許が切れることになっており、今期見通しは減収減益となっています。 医薬品メーカーも主力製品の特許がいつ切れるのかはもちろん把握しております。 主力製品の特許切れの前に次の主力製品を開発できるように積極的に研究開発を行っています。 医薬品の研究開発には安全性の確認を取る必要があり多大な時間と費用がかかります。 他業種に比べ研究開発費が高額であるのが医薬品メーカーの特徴の一つです。 アステラス製薬の過去10年の業績推移(EPS、BPS) アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 EPSは前述の特許切れの影響などもあり波がありますが、しっかりとプラスを維持しています。 BPSは安定していますが、近年伸びがストップしていることがわかります。 アステラス製薬の過去10年のROEとROA 下記はアステラス製薬の過去10年のEPS、BPSです。 ROE、ROA共に2011年~2014年は低下していますが、それでもROE7%以上、ROA5%以上となっています。 業績が好調で無い時期でも高い収益力を持つことが読み取れます。 基本的にはROEは10%を大きく上回る水準、ROAは8%を上回る水準で推移しています。 アステラス製薬の生産性、収益力は高水準といえるでしょう。 アステラス製薬のPERとPBRの推移 アステラス製薬のPER及びPBRは下記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 アステラス製薬のPER及びPBRは上記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 同業他社と比較するとアステラス製薬のPERが15. 2倍、PBRが2. 19倍なのに比べ、 エーザイはPER25. 4倍、PBR2. 91倍、第一三共がPER47. 3倍、PBR2. 72倍で比較的割安と言えます。 武田薬品工業は大型買収により、業績が大きく変動していますので比較しても分析にはなりません。 アステラス製薬の配当利回り アステラス製薬の配当利回りの推移です。 2%~2. 8%の間を推移しており、現在は過去3年の高値付近で推移しています。 といっても、高配当銘柄とよべるほどの利回り水準ではありませんので業績を見極めて投資判断を行うことが必要です。 アステラス製薬の投資判断 アステラス製薬の株価は2019年6月4日現在1,495円となっています。 PERは15倍程度、PBRは2. 2倍程度の水準です。 PERは同業他社と比べるとやや割安といった水準ですが、市場平均と比べると割安とは言えません。 今期業績予想が主力製品の特許切れにより減収減益を予想しており、安易な買いは控えるべきでしょう。 来期以降、特許切れ製品に代わる新製品などが出てくるかが注目点です。 アステラス製薬は歴史ある製薬会社でこれまでもパテントクリフを乗り越えてきていますので、来期以降で増収増益に転じる可能性は十分あります。 今後、新薬の開発あるいは既存製品のシェア拡大がどの程度進むのかが業績を左右する重要点となりますので、情報開示などをしっかり確認していく必要がある企業です。

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