君 の 笑顔 で これだけ の 人 が 笑っ てる の に。 完全感覚アノテーションで心が壊れた話

#2 彼の笑顔には力があると思う

君 の 笑顔 で これだけ の 人 が 笑っ てる の に

Attention!! 今回は高校1年の秋頃、スコッチ君を勉強のためにお家に招いた話。 愚痴聞いてもらったり甘やかしてもらったりしてる。 ・色々とご都合主義設定 ・読了後の苦情は受け付けません。 地雷そうだなと感じたらバックでお願いします [newpage] 今日は緑川君にお勉強教える日だった。 そのうち一時間くらいは私が寝ちゃったから何もできなかったけれど、何故か緑川君はご機嫌だったし結果オーライかな。 結構のんびりした1日になったと思う。 そんなある1日の話をお聞きください 夏が過ぎ秋も深まりつつあるこの頃、高校1年の三者面談の時期になった。 残念ながら私は両親が諸事情で来れないため、三者ではなく二者面談だった。 特に問題を起こしてるわけでもなく成績は上位を維持してるから先生からも特にお咎めはないはず、そう思っていたのだが…。 「はぁ…」 ところが現実は甘くなかったのだ。 高校ともいえば進路を考える時期、もちろん大学に行く予定ではあるのだが、その進路について先生にあれこれ言われたのだ。 何か学校生活で悩んでる事はある?」 「いえ特には…」 「…そうか?噂のこととか気にしてるんじゃないかと思って」 「噂、ですか…」 そう言われて思い浮かんだのはゲーム脳だのなんだの、騒がれてる件だった。 成績優秀者は成績発表のときに提示されてしまう。 それでどうしても名前を知られてしまうわけだ。 内部生は私の夢のこと知ってたりするわけで、どうしても噂が生まれるのは仕方がない。 噂は別に構わないが、何より一番悲しかったのは… 「まぁ、あんな噂今更だからね。 君はちゃんと将来を見据えてるだろうし。 まさかゲーマーになるなんて本当に思ってるわけでもあるまいしね」 「ははっ、当然ですよ〜」 先生が理解を示してくれないことだった。 まぁ、当然といえば当然かもしれない。 ここで本当にゲーマーになるつもりだなんて言ってしまえば話がややこしくなるのは目に見えてる。 私はただ愛想笑いをしつつ相槌を打つしかできなかった。 「それで、大学はやっぱり東都大学かな?」 「んー、そうですねぇ視野には入れてますよ」 「そうだ、そもそも何処に行きたいとか何になりたいとかあるのかな?」 「いえ、特に希望はないので就職できればそれでいいかなって考えてます」 「えー!それはもったいない!雨宮だったら医者とかにもなれそうなのになぁ」 「ははっ、買い被りですよ〜」 「そういえば、雨宮は親御さんが出張中なんだってな」 「そうですよ」 「一人で寂しくないだろうに…よく頑張ってるよね。 良かったら学校にも残って勉強してっていいんだよ?あまり早く帰るとゲームしてるって言われるだろうし…」 「個人的に家の方が落ち着いてできるので、やっぱり家で勉強したいですね」 「そっか。 その方が家事もすぐできるもんな。 全く、まだ高校生だっていうのに家のこともできて勉強もできるなんて流石だなぁ」 褒められてるのに褒められてる気がしないのがすごく嫌だった。 別に先生には悪気はないのだろうけど、やっぱり自分の夢をどんどん否定されていってる気がしてしまう。 それは多分精神的に疲れてるからなんだろう。 その後は両親についてアレコレ聞かれ、進路を勝手に考えられたりして解放された頃には胃に穴があく思いだった。 転生してまで進路の悩みが襲いかかるとか聞いてない。 お母さんは大丈夫だろうか。 お父さんは今何してるのだろうか…いい考えが全く思い浮かばない。 もう色々と最悪だ。 一応テスト前でもあり、そういった身としては勉強するべきなのだろうが、やる気にもなれず、外は生憎の雨で外で運動できるわけでもないので自然と部屋の中で燻っている。 ゲーム機を持っても何かやる気が出なくて、ベットに寝っ転がり同人誌を読んでいると携帯電話が鳴り響いた。 緑川君からだ。 「ん、もしもーし」 「彩夢、今暇か?」 「勉強のお誘い?」 「そうだよ。 ちょっと今度のテストでわからないことがあるから教えてほしくて…」 「いいよ、降谷君もくる感じ?」 いつもの流れだとそうだと思って確認しつつ、お昼が人数分あるかどうか確認に向かっていると電話越しに「あー…」と歯切れの悪い答えが返ってきた。 「うん?どうしたの?」 「いや、その…今日はゼロはいないんだけど」 降谷君が来ないなんて珍しいなぁ。 いつもあの二人セットで来てたし…。 何か用事でもあったのかと聞けば、そうでもないらしい。 まぁ、高校になってまで一緒に行動しなくてもいいしな。 「ほら、ゼロはゼロで勉強してるから、邪魔したくないし…あっ、別に彩夢の邪魔をしようとかそういうんじゃないからな!」 「ふはっ、落ち着いて緑川君。 私全然問題ないし、むしろ人がいないと勉強できなさそうだったから大歓迎。 いいよ家に来なよ」 「えっ、家!?」 「あれ?違った?てっきり家でやるもんだと思ったけど…」 「あ、いや、そうだよな…雨降ってるし…」 「…それとも、私がそっち行った方がいい感じ?」 「それは困る!!」 「お、おう…」 「あ、困るっていうか、その部屋が汚いっていうか…」 なんだろう、今日の緑川君可愛いな。 いつも他の子よりは落ち着いている方なだけに新鮮だ。 わたわたしてる姿が目に浮かんで思わずクスッと笑ってしまった。 その声が向こうに届いたのか「お前なぁ…」とちょっと拗ねた声が返ってくる。 「私のところも部屋が綺麗とも言い難いし別に気にしなくてもいいのに。 それとも別の見られたら困る何かがあるのかな?」 「…わかってるなら聞くなよ」 「ごめんごめん。 それで私の家でいいの?」 「…ああ。 彩夢が良ければ、だけど」 「私は全然気にしないって言ったじゃん」 「そこは気にして欲しかった…」 「うん?」 小さい声で何か呟いてたのは上手く拾えなかった。 とはいえ、家に来るなら何かご飯用意しなきゃなぁ。 すぐに支度してそっちに行くと告げた緑川君に適当に返事を返して通話を切った。 キッチンの冷蔵庫を開けると、昨日作った簡単な惣菜はある。 流石に緑川君に冷凍食品食わせるわけにはいかないからなぁ。 余った食材で簡単に何か作れるかな…。 軽くお昼の用意を済ませていると十数分後、インターホンが鳴らされた。 緑川君を招き入れてあげると、何だかそわそわした様子で挨拶したきり始終無言だ。 「緑川君、大丈夫?」 「えっ、あ…うん。 大丈夫だ、何も問題ないよ」 なんかめっちゃ苦笑いしてるしどう考えても大丈夫そうじゃないんですけど、それは…。 きっと突っ込まない方がいいな。 「それで、わからないところって?」 「あぁ、物理の問題なんだけど」 「うん」 時間が勿体無いので早速やろうと声をかけると、彼は持ってきた教科書と問題集を広げ、わからない問題を指差した。 発展問題がわからないと言ってくるあたりは流石としか言いようがないだろう。 ノートには試行錯誤した後が残ってる。 「これはねぇ…教科書のこことここを使うと解きやすいよ」 「うーん…?」 ヒントだけ与えるとすぐに問題に取り掛かり始めた。 静かな空間にカリカリとシャーペンの音が響く。 緑川君の真剣な横顔を少し楽しみながら私も自分の勉強を始めることにした。 そうして1. 2時間経った頃、私達の集中力はプツリと途絶えた。 「あ"〜もう無理!!」 「おれも無理…休憩しよう…」 「どうせお昼の時間だし丁度いいね。 ちょっと待っててね」 「おー」 さっき用意した材料でパパッとオムライスを作る。 一人前しかできなかったので私はオムライスの余りと冷凍食品を食べることにした。 本当は彼の前でこういう食事を取るのは気がひけるのだが…。 「はい、お待たせ」 「オムライスか」 「うん。 急遽だったから簡単にできるやつだけど」 「いや、これで十分だよ…って、彩夢の分は?」 「お腹空いてないんだよ」 「いや、そうじゃなくて、それ冷凍食品だろ?ちゃんとしたの食べなきゃダメだろ〜」 「あははは…」 よく冷凍食品だなんて分かったな。 これラザニアだぞ、ぱっと見わからんだろ、とか思ってたら「ラザニアって時間かかる料理なのにオムライスと同じタイミングで出るなら冷凍食品しかないだろ」ってご丁寧に解説してくれました。 変なところで頭使わなくていいんだよ!! 「…ゼロが言ってたんだけど、やっぱり最近ちゃんとした食事取ってないな?」 「うっ…」 なんだよなんだよ…降谷君まで見てたのかよ…やっぱり二人とも保護者か何かでしょ。 きっと降谷君はお弁当を見てたんだな。 ママぁぁ。 「善処します…」 「はぁ、ゼロに言っておくか…」 「やめて!ママだけはやめて!!後生だからぁ!」 「ママにちゃんと怒られなさい!」 「そんなぁぁ!」 駄々をこねてみたが、結局報告されること間違いないらしい。 げっそりした私に爽やかに笑って「ちゃんとしたもの食べような」って圧力かけてきた彼は鬼だと思った。 なんか緑川君笑顔で圧力かけること増えたね? 「んじゃ、食べたことだし、勉強戻るかー」 「そうだね」 その後はまた改めて勉強に集中した。 彼がわからないと申し出たところを一通り確認して、それぞれの要点だけ教える。 彼は飲み込みが早いからこの分なら夕方には終わるかな。 「…じゃあ、ここの部分はこうなるってことか?」 「…ん、そゆこと」 「彩夢?」 「んー?」 だがしかし、何だか眠くなってきた。 緑川君の声がこれまた睡眠を誘ってきててやばい。 もしかしたら安心して気が抜けたってこともあるのかもしれないけど今更眠気が襲ってきたらしい。 うー、まだ説明終わってないから寝れないのに…。 緑川君がこっちを伺ってるのはわかっていたのでどうにかこうにか眠気を払おうとしていたらクスッと笑われた気がした。 「眠いなら寝ていいよ」 「眠くないからへーき」 「ほんとか?目が宙に浮いてるぞ」 「だいじょーぶだから」 あ、ダメだこれ完璧に睡魔なやつだ。 眠りそう。 瞼が次第に重くなってきてるのを感じて必死に抗うものの、緑川君がご丁寧に優しく頭を撫でてくれるわ、柔らかい声で喋ってくれるわで追い討ちかけにきてる。 「目の下、くまが酷いしちゃんと寝れてなかったんだろ?寝れるときに寝たほうがいいよ」 「うー…やだー緑川君に説明するー」 舌ったらずで自分が何言ってるかわからなくなってると「んんっ!!」と何か呻き声みたいなのが聞こえた。 けど、それに反応するでもなく意識はどんどん落ちていったのだった。 「ったく、無意識に爆弾落として寝落ちだもんなぁ…勘弁してくれ…」 最後に何か聞こえた気がしたけどそれもちゃんと聞き取ることは叶わなかった。 どのくらいしてからだろうか、ふと意識が浮上しうつらうつらと微睡んでいると、ぼんやりとした視界に緑川君の真剣な顔が見えてきた。 「んー…?」 「うん?起きたかー?」 「んー…」 「ははっ、寝ぼけてんのかー?」 ポフポフと頭を撫でられて何かよくわからないけどホッとする。 …もしかして条件付けされたかなぁ?暫くすると宿題に戻る為か手が止まってしまった。 それがちょっと惜しくて、手を掴み私の頭に戻して「もうちょい」とお願いした。 すると、ピシッと完璧動作が固まり、少し間があってから「は…?」と一言。 反応が珍しくてちょっと面白い。 寝起きのテンションでにヘラと笑って「だめ〜?」と聞いた。 「あ、いや、全然いいよ。 今日やたらと素直だな」 「まぁ、ちょっとアレコレあってさぁ。 ごめんねぇ寝ちゃって」 やっぱり固まったのは珍しかったからか。 普段あんまり甘えないからなぁ。 その事で前に怒られた事あるし、あれからちょくちょく愚痴漏らしたり、なにかとやったけどこんなにべったりしたの初めてかもしれない。 申し訳なさが半分あるが、少しだけ精神的に楽だ。 緑川君はアレコレの内容が気になったのか、暫く考えた後ズバリと指摘した。 「……もしかして面談のことか?」 「よくわかったね」 「まぁ、直近で悩み抱える事件といえばそのくらいかなってな…それで、先生に何か言われたのか?」 「ちょっと将来の夢について、ね…」 私は起き上がって伸びをしつつ、ちらりと彼の手元を見た。 一応問題は全て解き終わったみたいだ。 私の反応を見た緑川君も「ひと段落ついてるから話聞くよ」と話を聞く体制に移してくれたからお言葉に甘えることにした。 よくある悩みだけれど、先生はいい大学に行けって言うとか、なんか夢を決められてる気がするとか、そんな感じの愚痴を延々と話した。 「確かに彩夢は引く手数多みたいなところあるからなぁ」 「引く手数多ねぇ」 「小さい頃から成績優秀だったからさ。 おれは身近すぎて凄さをいまいち実感できなくなりつつあるのかもしれないけど、先生からしたら期待の新星なのかもな」 「そうだねぇ…」 「でも、その期待を押し付けるのはちょっと間違ってる気がするよなぁ」 「うん。 それに付け加えて両親のことちょっと触れられてねストレスがマッハだった」 「両親のこと?」 「一人にされて可愛そうだとか、一人で寂しくないのかとか、寂しかったら居残りしたらいいとか。 ちょっと有難迷惑だなって」 「あー…」 変に可哀想だとか同情を向けられるのって無性にイラッとしてしまうことがある。 うるせぇ余計なお世話だって思うことって誰にでもあるじゃん?きっと悩んでたことドンピシャに言われたこともあってそう感じたんだろうけど、とりあえず顔面一発殴りたいくらいには殺意が湧いた。 「それ、おれたちも言ったりしたけど、あんまり良くなかったかな…」 「え…」 一人で勝手に思い出してムカついてると気が付いたら緑川君が気まずそうにそんなことを聞いてきたので驚いた。 「いや、緑川君たちは別っていうか、何にも感じないというか、むしろ心配してくれて嬉しかったんだけど…ちょっと言い方悪かったね、ごめん」 「いや、おれが勝手に忖度しただけだから気にしないでいいよ」 「わかった。 …とまぁ、そんな感じに不満が溜まっててね?情けないことに将来の事悩んじゃったりして、寝れなくってさ」 「彩夢でもそんなことあるんだな」 「もー、人をなんだと思ってんのー」 「いや、てっきりゲームして夜更かししてるって思ってたからさ」 「まぁ、確かにそう言ったからなぁ」 「だろ?だからずっとそうだと思ってて…」 心配かけないようにって思ってたからなぁ。 何だかんだ相談とか乗ってくれていた両親がいなくて思いの外、精神的にきてたみたいだ。 そのせいか最初に出てきた言葉も「……ごめんね」だった。 「なぁ、おれは頼ってほしいって言っただろ?謝ってほしいんじゃないんだ。 引け目を感じるって事はたぶん、心配かけたくないとか思ってるからだろ?でも、何も言わないで気が付かないうち潰れてしまう方がおれは怖いよ。 だから、もっと遠慮なく甘えてくれよな」 「うん…」 感謝の言葉を言える状態でもなくなってしまったのでそっと机に突っ伏した。 優しさが身に染みる。 涙腺が緩んで仕方がない。 緑川君はそんな私の頭をまた撫でてくれた。 居心地がいいなぁ。 「その方がおれも嬉しいから…な?」 「うん…」 じんわりと滲んだ涙で少しだけ視界が曇ったけれど、緑川君は口角をあげて笑ってるみたいだった。 表情見えないけど、きっと女子が大歓喜するような優しい表情してるんだろうなぁ。 本当は見たかったけど、あまり情けない顔は見られたくないので暫く涙が引っ込むまで机に突っ伏して彼に撫でられてることにした。 そうして漸く私が泣き止む頃には外は結構な暗さになっていた。 夏も開けたから夜が早くなりつつあるようだ。 流石にそろそろ帰らないとまずいだろう。 「結構真っ暗だし雨も酷いなぁ。 大丈夫?」 「うん、問題ないよ。 男だしその辺心配ないだろ」 緑川君可愛いから襲われないか心配だよ、そう言いかけた言葉は飲み込んだ。 地味に機嫌悪くなるの知ってるからだ。 こんな日なら泊まっていけばいいのになぁなんて、あんまり一人暮らし 仮 してる女の子としてはよくない事が思い浮かんでしまった。 それもこれも萩原君が前にお泊まり会したーい!とか騒いでたからってことにしておこう。 「お泊まり会したいね」 「…ん?どうした急に?」 「ううん、何となく。 やっぱりちょっと一人って寂しいからさ」 一緒に靴を履いて外に出ようとすると、緑川君は何を考えたのか私に詰め寄ってきた。 なんだか目が据わってるし…デジャヴだな?どうしてこうなったんや…。 「それ提案者誰?」 急に詰問するような鋭い言い方に変わった彼に内心驚きつつ「女友達だよ」って笑って言った。 流石の私も学習してる。 ところが、誤魔化し具合は完璧だって思ったのに、思いっきり「ダウト」って言われた。 なん…だと…。 バレるようなこと言ってないというのに。 「ほ、本当だよ!だから落ち着けって! 「そういう提案するのはあいつしかいないだろ 「いや、そこでどうして萩原君が挙がるんだ!」 「おれは萩原とも言ってないぞ?」 「あー…そうだったっけ?いっけーなーい!てへっ」 焦りは最大のトラップだね!松田君!口が滑るとはまさにこの事だ!詰め寄られて妙に身体が密着した体制になったのだが、いつもならそんなに感じない危機感も彼の剣呑さからか、それとも何処か暗く見える表情のせいかドキがムネムネした。 緑川君は一言も発さないで、じーっとただわたしを見つめてくるだけだ。 何故かその視線にそわそわして目が泳いでしまった。 「あのー、緑川君?」 一度声かけても反応が無いので、どうしたら良いのかと思いあぐねていると、緑川君はプッと吹き出した。 「そんなに目を泳がせてどうしたんだ?」 「いや、流石にイケメンは目に眩しいなって…」 「本当にそれだけか?」 クスクスと笑う彼はいつもの彼だ。 良かった戻ったみたいだ。 悪戯げに笑ってるけど、本当にそれだけだよって言うと、露骨に残念そうな顔をした。 なんだか、ごめん…。 「あのな、それでお泊まり会の話だけど」 「うん」 「萩原と二人にはならない事」 「やっぱり緑川君、萩原君過激派か何かだよね?」 「彩夢の身を守るためなんだよ」 「いやでも…」 「な?」 「りょ、了解です…」 笑顔の圧力には敵わなかったです。 素直に頷くことでこの場は収まり、本当にお泊まり会するときは降谷君と緑川君も呼ぶってことで話はまとまった。 「…っと、長らく立ち話させて悪かったな」 「いや、最初に私が振った事だから」 「そうだったな…。 なぁ、彩夢」 「うん?」 「約束破ったら、罰ゲームな?」 「……肝に命じます」 緑川君はとても満足そうでした。 でもそれはそうとして本当にお泊まり会はしたいなぁ。 ちょっと寂しい気持ちが伝わったのか緑川君は「また来るよ」とニッて笑ってくれた。 うむ、ありがたい…。 「じゃあね」 「おー。 じゃあな」 雨の中出て行ったその背中を私は最後まで見送った。 雨宮彩夢 笑顔の圧力って怖いよね。 笑ってるのに笑ってないの、やばくない?なんか危ない感じがするんだよね…。 気のせいだといいなぁ。 それはそうとしてお泊まり会したい 緑川景光 ゼロと来なかった理由は察してくれ。 ほら、やっぱり二人きりになってみたいだろ?結構堪えるの大変だったけどな。 やっと頼ってくれるようになってきたから是非この調子でいってほしい。 もっとおれを頼ってくれ。 とはいえ急に甘えてこられたのは理性と心臓に悪かった。 頭撫でて欲しいって言われてとっても嬉しかったです。 思うことは色々あるけど、彩夢の悩み事は増やしたくないんだよなぁ。

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君 の 笑顔 で これだけ の 人 が 笑っ てる の に

ツイ……のほぼ壁打ち用鍵垢でtwstは喚いてるんですけど"小さい頃に泣いてる男の子をどうにか泣き止ませたくてアレコレしたら君って馬鹿だねって笑われて、今でもあの子はもう泣いてないかなって時たま思い出しながら生きてた子が、泣いてるアズールを笑わせたくてアレコレしたら貴女は本当に馬鹿な人ですね、昔からって言われてあの時の男の子が彼だと解る話"って呟いてから書きてぇわ…ってなったので書きました 正直な顔 気が狂ったオタクなのでエースに監督生なんで俺のSSR持ってねーの?って言われてるの想像して自分でダメージ受けて触発されて恒常に課金したんですけど、エースが来なかった代わりにピックアップの時に天井過ぎても尚来なかったフロイドくんのSSRが来てハァ!?って言ったんですけど脳内のエースくんもハァ!?って言ってました 幻覚 お邪魔しました。 珊瑚の海は潮の流れに乗って日々新しいものが流れてくる。 いつもと同じようで、ちょっとだけ違う景色。 散歩コースだってそう。 流れに身を任せて、いつもとは違う場所へ、すいすいと泳ぐ。 帰り方の心配は後ですればいいや、なんて。 そんな子供だった。 色鮮やかなサンゴ礁を外れた岩場の影。 日も差し込まないそこはいつも感じる水温よりもひんやりしていて、夏場はこう言う場所が全部だと良いのになあ、なんて視界の端で揺れる海藻をくるくると弄んで居れば、不意にその一人だけだと思っていた空間に自分以外の声が聞こえた。 そろそろと海藻を離してそちらへ向かえば、岩の裏側のさらに奥まったところで、誰かが縮こまっていた。 気のせいじゃない。 「泣いてるの?どっか怪我した?帰り道がわかんないとか?」 「ほっといてよ…!っうぇ、」 声を出して、漏れ出たような嗚咽を抑えるように口を塞ぐその子は、こちらを向いて睨み付けてきたけれど、ポロポロと流れる涙が怖さを感じさせなくて、むしろ、怖がってるのはこの子の方なんだと思った。 暗がりの中見えるのは私と同じような尾鰭じゃなくて。 ひいふうみ……8本あるそれはタコの足。 だからきっと、ここらでは珍しい、タコの人魚の子なんだろう。 可愛らしいその子は未だグスグスと泣いていて、放っておいてと言われてもできるわけもなかった。 だってこんなに泣いてるのに! 「泣き止むまでここにいるよ、心配だし」 「い、いら、ない…っ、」 「そんなこと言わずに…私の中の君の記憶が泣き顔だけなのやだもん…」 「お、ぼえなくて、いい…!」 「すごい寂しいこと言うな君は!こんな広い海の暗がりの隅で、私が今泣いている君と出会ったのはこう、何かに導かれて来たんだよ!」 実際潮の流れに導かれてきたんだけど、と。 呟いたら、なんだよそれ…とか細い声で言われた。 うんうん、いい調子。 そうだなあ、このままこの子が笑ってくれればいいんだけど。 うーん…? 「あ!そうだ、君ちょっと待っててね」 「は?」 すいすい泳いで、さっき遊んでた昆布を引きちぎる。 ちょっと掴み難かったけど、まあ千切れたので良しとしよう。 「お待たせ!」 「……べつに待ってない」 ていうか何持ってきたの、と。 銀色の髪がふわりと揺れる。 やっとちゃんとこっちを見たなぁ、なんて。 ころんとした可愛いタコの子。 こう、可愛いなぁーって撫で回したいと思う感じの、可愛い子だった。 「これ、なんだ」 「ジャイアントケルプだろ、バカにしないでよ」 「そう、ジャイアントケルプ!こうして、細かく割いて、結んだらすごい可愛いと思わない?」 「そんな雑草で遊ぶ人いないよ」 「そう、私たちからしたら雑草なのよ、これ」 リボン結びにしたそれをふよふよと浮かべてら並べて、私もついこの間知ったばかりのことを言う。 「東の国のさらに東の果ての、小さな島国の人間は、このジャイアントケルプみたいな雑草を!こうして結んで食べちゃうんですって!」 「………嘘でしょ」 「嘘じゃないんだ、それが!この間ここじゃない海に行ってたんだけど、そのときに聞いたの。 良いダシが取れるとかなんとか言って…その雑草を煮たら美味しいスープができるとかなんとか…」 「……そんな、ものが」 お、ちょっと目が輝いてきてる!かわいいなあ、ふくふくのほっぺも心なしか珊瑚みたいな色を帯びてる! 「そう、だからね、私はてっきりこのジャイアントケルプそのものがその雑草のことなんだと思って、この間ちょっと、食べてみたのね」 「えっ?」 「あ、うん。 そのマジで?みたいな顔すごい正しい!すっっごいまずかった!全然美味しくなかった!!」 くっ、とあの時の嫌悪感を思い出して眉を寄せれば、少しこっちをみて固まったその子は、次第に肩を揺らして。 …っふふ、はは」 君って凄いバカだね!と。 やっと笑ってくれたのだった。 「……うん。 あれから幾年経っても、たまにあの子のことを思い出す。 もう泣いてないかなとか、ちゃんとあのかわいい笑顔で笑えてるかなとか。 我ながら不審者も良いところだった、なんて思ってはうんうん頷いてしまう。 海から海へ旅をして、そして世界を見る家に生まれた私が、あの子に会ったのはあの一度だけで。 名前を教えても、聞いてもないあのかわいいころころしたタコの人魚の子。 元気だと良いな、と。 ガタガタ揺られながら思う。 とんでもない名門やんけ!と家族で思わず案内の手紙から半径1メートルくらい飛び退いたのは懐かしい話だ。 一通り盛り上がってから何か引っかるな、と首を傾げて、そうじゃんあそこ男子校では?????と。 気づいてまず父が荒れた。 そんな獣の楽園へ可愛い娘を行かせられるか!!!!と。 次いでハッとした兄がそれな!!!!!!?というかなんでロイヤルソードじゃないの!?!?!?妹との登下校楽しみにしてたのに!!!と暴れた。 この16年生きて初めて見た兄と父の荒れ方にドン引きしていれば、おだまり!!!と母が一声吠えて。 ピシャリと黙る二人に母はいついかなる時も強いのだと再認識しながら、それについての説明も同封されてるからちゃんと読めこのすっとこどっこい共と突きつけられていた。 スットコドッコイis何。 そうして。 海中だというのにお構いなしに迎えにきた黒い馬車の棺にインされる前に人間になる薬を服用して、かくん、と。 遠くなる意識。 いってらっしゃい、良い学園生活を。 入学おめでとう、私たちの可愛い娘。 そんな声が遠くで、聞こえたような気がした。 棺の中でどんぶらこされた果て、目が覚めたらナイトレイヴンカレッジの入学式。 勝手に開いた棺の蓋を出れば、同じ服の人がずらりと並んでいて。 あ、自分もその服に変わってるわ、なんて質の良い布地に怯えれば、寮の振り分けが始まっていく。 そして私の番で。 海の魔女の慈愛の精神に基づく、だったっけ。 まあ海で生まれたし、とオクタヴィネル生が集まるところに合流して、女だなんだとざわつく周りは無視しておく。 気持ちはわかる。 女子校に男の子居たらなんでや!ってなるもんな。 そんな入学式から、早数ヶ月。 同級生たる一年にやべー双子が居るみたいな話とか、ラウンジがうんたらみたいな話が出始めて、この学園わりとなんでもアリか?なんて戦々恐々と日常を過ごす私はひたすら絶対巻き込まれんようにせねばと決意していた。 だって怖くない?巻き込まれて手足が出ない自信がないもの。 手足といえば、いつのまにか尾鰭が二本の足になってたんだけど、私に歩行の才があったらしくてめちゃくちゃスムーズに歩けるようになってた。 嘘です。 昔から何回か人間になって旅してたりしてたから、慣れてただけです。 飛行術も、周りのオクタヴィネル生に比べたら得意だと言える、うん。 ちょっと自慢。 というわけで、そんな得意な二本足での歩行で、学園内を散歩するのが好きであった。 私はただ散歩して、人のあんま居ない中庭のハズレ、校舎の影にたどり着いたんですよ。 そしたらそこには先約が居て、マズったな申し訳ねぇ、と踵を返そうとしたらありきたりに小枝を踏んだ。 うーん、困った。 美人さんに涙目で睨まれたところでちっとも怖くはないけど、いたたまれないんだよな。 「そういえばさ。 人間ってやばくない?」 あいつら海汚すけど海食べるんだよ、と。 呟いたらポカンとしていたその人は、小さく肩を震わせて、そしてあはは、と。 声を上げて笑ってくれた。 「ふふ、っあはは。 「うん、君には笑顔の方が似合ってるよ、やっぱり!」 久しぶりだね、と。 思わず近寄って手を取ってぶんぶん振ったら、やめなさい!と顔を真っ赤にして怒られたけど。 私達はそこで初めて、お互いの名前を知ったのでした。 めでたし? [newpage] 主人公ちゃん 回遊魚みたいな感じであちこち旅してた一家。 可愛い子には笑ってほしいじゃん?って知識フル稼働して笑わせたい。 この一年後多分16じゃなくて17才のギャン泣きを目の当たりにして頼むから笑ってくれアズールくん〜!!!ってもらい泣きしそうになりながら抱きしめて笑わせるためにあれこれ考える未来が待ってる。 アズールくん 一人で隠れて泣いてたらバレた上に凄い可愛い子がアホなことして笑わせにきた 好き! 紛うことなく初恋なんだけどその後一切会えてないので自分が都合の良い幻覚見てたんじゃないかと思ってた、ら、学校で再会して幻覚じゃなかったとかそう言うことに安心してしまって泣いてしまった。 ここまでは不可抗力。 幼い頃の言動に被せていったり寄せたりして覚えてなくてもこれなら思い出せませんか???みたいな感じで喋ったら大成功だったけど手を取られたのでヤメテッ!!!ってなった。 そういうのはまだ早いと思います!! 一年後にその続く初恋の相手の前でギャン泣きしちゃう未来があるとは毛ほども思ってないのでまずラウンジとラウンジで主人公を雇うことを考えてる。 尚続かない。

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「コミュ障」とは|心の悩み

君 の 笑顔 で これだけ の 人 が 笑っ てる の に

Attention!! 今回は高校1年の秋頃、スコッチ君を勉強のためにお家に招いた話。 愚痴聞いてもらったり甘やかしてもらったりしてる。 ・色々とご都合主義設定 ・読了後の苦情は受け付けません。 地雷そうだなと感じたらバックでお願いします [newpage] 今日は緑川君にお勉強教える日だった。 そのうち一時間くらいは私が寝ちゃったから何もできなかったけれど、何故か緑川君はご機嫌だったし結果オーライかな。 結構のんびりした1日になったと思う。 そんなある1日の話をお聞きください 夏が過ぎ秋も深まりつつあるこの頃、高校1年の三者面談の時期になった。 残念ながら私は両親が諸事情で来れないため、三者ではなく二者面談だった。 特に問題を起こしてるわけでもなく成績は上位を維持してるから先生からも特にお咎めはないはず、そう思っていたのだが…。 「はぁ…」 ところが現実は甘くなかったのだ。 高校ともいえば進路を考える時期、もちろん大学に行く予定ではあるのだが、その進路について先生にあれこれ言われたのだ。 何か学校生活で悩んでる事はある?」 「いえ特には…」 「…そうか?噂のこととか気にしてるんじゃないかと思って」 「噂、ですか…」 そう言われて思い浮かんだのはゲーム脳だのなんだの、騒がれてる件だった。 成績優秀者は成績発表のときに提示されてしまう。 それでどうしても名前を知られてしまうわけだ。 内部生は私の夢のこと知ってたりするわけで、どうしても噂が生まれるのは仕方がない。 噂は別に構わないが、何より一番悲しかったのは… 「まぁ、あんな噂今更だからね。 君はちゃんと将来を見据えてるだろうし。 まさかゲーマーになるなんて本当に思ってるわけでもあるまいしね」 「ははっ、当然ですよ〜」 先生が理解を示してくれないことだった。 まぁ、当然といえば当然かもしれない。 ここで本当にゲーマーになるつもりだなんて言ってしまえば話がややこしくなるのは目に見えてる。 私はただ愛想笑いをしつつ相槌を打つしかできなかった。 「それで、大学はやっぱり東都大学かな?」 「んー、そうですねぇ視野には入れてますよ」 「そうだ、そもそも何処に行きたいとか何になりたいとかあるのかな?」 「いえ、特に希望はないので就職できればそれでいいかなって考えてます」 「えー!それはもったいない!雨宮だったら医者とかにもなれそうなのになぁ」 「ははっ、買い被りですよ〜」 「そういえば、雨宮は親御さんが出張中なんだってな」 「そうですよ」 「一人で寂しくないだろうに…よく頑張ってるよね。 良かったら学校にも残って勉強してっていいんだよ?あまり早く帰るとゲームしてるって言われるだろうし…」 「個人的に家の方が落ち着いてできるので、やっぱり家で勉強したいですね」 「そっか。 その方が家事もすぐできるもんな。 全く、まだ高校生だっていうのに家のこともできて勉強もできるなんて流石だなぁ」 褒められてるのに褒められてる気がしないのがすごく嫌だった。 別に先生には悪気はないのだろうけど、やっぱり自分の夢をどんどん否定されていってる気がしてしまう。 それは多分精神的に疲れてるからなんだろう。 その後は両親についてアレコレ聞かれ、進路を勝手に考えられたりして解放された頃には胃に穴があく思いだった。 転生してまで進路の悩みが襲いかかるとか聞いてない。 お母さんは大丈夫だろうか。 お父さんは今何してるのだろうか…いい考えが全く思い浮かばない。 もう色々と最悪だ。 一応テスト前でもあり、そういった身としては勉強するべきなのだろうが、やる気にもなれず、外は生憎の雨で外で運動できるわけでもないので自然と部屋の中で燻っている。 ゲーム機を持っても何かやる気が出なくて、ベットに寝っ転がり同人誌を読んでいると携帯電話が鳴り響いた。 緑川君からだ。 「ん、もしもーし」 「彩夢、今暇か?」 「勉強のお誘い?」 「そうだよ。 ちょっと今度のテストでわからないことがあるから教えてほしくて…」 「いいよ、降谷君もくる感じ?」 いつもの流れだとそうだと思って確認しつつ、お昼が人数分あるかどうか確認に向かっていると電話越しに「あー…」と歯切れの悪い答えが返ってきた。 「うん?どうしたの?」 「いや、その…今日はゼロはいないんだけど」 降谷君が来ないなんて珍しいなぁ。 いつもあの二人セットで来てたし…。 何か用事でもあったのかと聞けば、そうでもないらしい。 まぁ、高校になってまで一緒に行動しなくてもいいしな。 「ほら、ゼロはゼロで勉強してるから、邪魔したくないし…あっ、別に彩夢の邪魔をしようとかそういうんじゃないからな!」 「ふはっ、落ち着いて緑川君。 私全然問題ないし、むしろ人がいないと勉強できなさそうだったから大歓迎。 いいよ家に来なよ」 「えっ、家!?」 「あれ?違った?てっきり家でやるもんだと思ったけど…」 「あ、いや、そうだよな…雨降ってるし…」 「…それとも、私がそっち行った方がいい感じ?」 「それは困る!!」 「お、おう…」 「あ、困るっていうか、その部屋が汚いっていうか…」 なんだろう、今日の緑川君可愛いな。 いつも他の子よりは落ち着いている方なだけに新鮮だ。 わたわたしてる姿が目に浮かんで思わずクスッと笑ってしまった。 その声が向こうに届いたのか「お前なぁ…」とちょっと拗ねた声が返ってくる。 「私のところも部屋が綺麗とも言い難いし別に気にしなくてもいいのに。 それとも別の見られたら困る何かがあるのかな?」 「…わかってるなら聞くなよ」 「ごめんごめん。 それで私の家でいいの?」 「…ああ。 彩夢が良ければ、だけど」 「私は全然気にしないって言ったじゃん」 「そこは気にして欲しかった…」 「うん?」 小さい声で何か呟いてたのは上手く拾えなかった。 とはいえ、家に来るなら何かご飯用意しなきゃなぁ。 すぐに支度してそっちに行くと告げた緑川君に適当に返事を返して通話を切った。 キッチンの冷蔵庫を開けると、昨日作った簡単な惣菜はある。 流石に緑川君に冷凍食品食わせるわけにはいかないからなぁ。 余った食材で簡単に何か作れるかな…。 軽くお昼の用意を済ませていると十数分後、インターホンが鳴らされた。 緑川君を招き入れてあげると、何だかそわそわした様子で挨拶したきり始終無言だ。 「緑川君、大丈夫?」 「えっ、あ…うん。 大丈夫だ、何も問題ないよ」 なんかめっちゃ苦笑いしてるしどう考えても大丈夫そうじゃないんですけど、それは…。 きっと突っ込まない方がいいな。 「それで、わからないところって?」 「あぁ、物理の問題なんだけど」 「うん」 時間が勿体無いので早速やろうと声をかけると、彼は持ってきた教科書と問題集を広げ、わからない問題を指差した。 発展問題がわからないと言ってくるあたりは流石としか言いようがないだろう。 ノートには試行錯誤した後が残ってる。 「これはねぇ…教科書のこことここを使うと解きやすいよ」 「うーん…?」 ヒントだけ与えるとすぐに問題に取り掛かり始めた。 静かな空間にカリカリとシャーペンの音が響く。 緑川君の真剣な横顔を少し楽しみながら私も自分の勉強を始めることにした。 そうして1. 2時間経った頃、私達の集中力はプツリと途絶えた。 「あ"〜もう無理!!」 「おれも無理…休憩しよう…」 「どうせお昼の時間だし丁度いいね。 ちょっと待っててね」 「おー」 さっき用意した材料でパパッとオムライスを作る。 一人前しかできなかったので私はオムライスの余りと冷凍食品を食べることにした。 本当は彼の前でこういう食事を取るのは気がひけるのだが…。 「はい、お待たせ」 「オムライスか」 「うん。 急遽だったから簡単にできるやつだけど」 「いや、これで十分だよ…って、彩夢の分は?」 「お腹空いてないんだよ」 「いや、そうじゃなくて、それ冷凍食品だろ?ちゃんとしたの食べなきゃダメだろ〜」 「あははは…」 よく冷凍食品だなんて分かったな。 これラザニアだぞ、ぱっと見わからんだろ、とか思ってたら「ラザニアって時間かかる料理なのにオムライスと同じタイミングで出るなら冷凍食品しかないだろ」ってご丁寧に解説してくれました。 変なところで頭使わなくていいんだよ!! 「…ゼロが言ってたんだけど、やっぱり最近ちゃんとした食事取ってないな?」 「うっ…」 なんだよなんだよ…降谷君まで見てたのかよ…やっぱり二人とも保護者か何かでしょ。 きっと降谷君はお弁当を見てたんだな。 ママぁぁ。 「善処します…」 「はぁ、ゼロに言っておくか…」 「やめて!ママだけはやめて!!後生だからぁ!」 「ママにちゃんと怒られなさい!」 「そんなぁぁ!」 駄々をこねてみたが、結局報告されること間違いないらしい。 げっそりした私に爽やかに笑って「ちゃんとしたもの食べような」って圧力かけてきた彼は鬼だと思った。 なんか緑川君笑顔で圧力かけること増えたね? 「んじゃ、食べたことだし、勉強戻るかー」 「そうだね」 その後はまた改めて勉強に集中した。 彼がわからないと申し出たところを一通り確認して、それぞれの要点だけ教える。 彼は飲み込みが早いからこの分なら夕方には終わるかな。 「…じゃあ、ここの部分はこうなるってことか?」 「…ん、そゆこと」 「彩夢?」 「んー?」 だがしかし、何だか眠くなってきた。 緑川君の声がこれまた睡眠を誘ってきててやばい。 もしかしたら安心して気が抜けたってこともあるのかもしれないけど今更眠気が襲ってきたらしい。 うー、まだ説明終わってないから寝れないのに…。 緑川君がこっちを伺ってるのはわかっていたのでどうにかこうにか眠気を払おうとしていたらクスッと笑われた気がした。 「眠いなら寝ていいよ」 「眠くないからへーき」 「ほんとか?目が宙に浮いてるぞ」 「だいじょーぶだから」 あ、ダメだこれ完璧に睡魔なやつだ。 眠りそう。 瞼が次第に重くなってきてるのを感じて必死に抗うものの、緑川君がご丁寧に優しく頭を撫でてくれるわ、柔らかい声で喋ってくれるわで追い討ちかけにきてる。 「目の下、くまが酷いしちゃんと寝れてなかったんだろ?寝れるときに寝たほうがいいよ」 「うー…やだー緑川君に説明するー」 舌ったらずで自分が何言ってるかわからなくなってると「んんっ!!」と何か呻き声みたいなのが聞こえた。 けど、それに反応するでもなく意識はどんどん落ちていったのだった。 「ったく、無意識に爆弾落として寝落ちだもんなぁ…勘弁してくれ…」 最後に何か聞こえた気がしたけどそれもちゃんと聞き取ることは叶わなかった。 どのくらいしてからだろうか、ふと意識が浮上しうつらうつらと微睡んでいると、ぼんやりとした視界に緑川君の真剣な顔が見えてきた。 「んー…?」 「うん?起きたかー?」 「んー…」 「ははっ、寝ぼけてんのかー?」 ポフポフと頭を撫でられて何かよくわからないけどホッとする。 …もしかして条件付けされたかなぁ?暫くすると宿題に戻る為か手が止まってしまった。 それがちょっと惜しくて、手を掴み私の頭に戻して「もうちょい」とお願いした。 すると、ピシッと完璧動作が固まり、少し間があってから「は…?」と一言。 反応が珍しくてちょっと面白い。 寝起きのテンションでにヘラと笑って「だめ〜?」と聞いた。 「あ、いや、全然いいよ。 今日やたらと素直だな」 「まぁ、ちょっとアレコレあってさぁ。 ごめんねぇ寝ちゃって」 やっぱり固まったのは珍しかったからか。 普段あんまり甘えないからなぁ。 その事で前に怒られた事あるし、あれからちょくちょく愚痴漏らしたり、なにかとやったけどこんなにべったりしたの初めてかもしれない。 申し訳なさが半分あるが、少しだけ精神的に楽だ。 緑川君はアレコレの内容が気になったのか、暫く考えた後ズバリと指摘した。 「……もしかして面談のことか?」 「よくわかったね」 「まぁ、直近で悩み抱える事件といえばそのくらいかなってな…それで、先生に何か言われたのか?」 「ちょっと将来の夢について、ね…」 私は起き上がって伸びをしつつ、ちらりと彼の手元を見た。 一応問題は全て解き終わったみたいだ。 私の反応を見た緑川君も「ひと段落ついてるから話聞くよ」と話を聞く体制に移してくれたからお言葉に甘えることにした。 よくある悩みだけれど、先生はいい大学に行けって言うとか、なんか夢を決められてる気がするとか、そんな感じの愚痴を延々と話した。 「確かに彩夢は引く手数多みたいなところあるからなぁ」 「引く手数多ねぇ」 「小さい頃から成績優秀だったからさ。 おれは身近すぎて凄さをいまいち実感できなくなりつつあるのかもしれないけど、先生からしたら期待の新星なのかもな」 「そうだねぇ…」 「でも、その期待を押し付けるのはちょっと間違ってる気がするよなぁ」 「うん。 それに付け加えて両親のことちょっと触れられてねストレスがマッハだった」 「両親のこと?」 「一人にされて可愛そうだとか、一人で寂しくないのかとか、寂しかったら居残りしたらいいとか。 ちょっと有難迷惑だなって」 「あー…」 変に可哀想だとか同情を向けられるのって無性にイラッとしてしまうことがある。 うるせぇ余計なお世話だって思うことって誰にでもあるじゃん?きっと悩んでたことドンピシャに言われたこともあってそう感じたんだろうけど、とりあえず顔面一発殴りたいくらいには殺意が湧いた。 「それ、おれたちも言ったりしたけど、あんまり良くなかったかな…」 「え…」 一人で勝手に思い出してムカついてると気が付いたら緑川君が気まずそうにそんなことを聞いてきたので驚いた。 「いや、緑川君たちは別っていうか、何にも感じないというか、むしろ心配してくれて嬉しかったんだけど…ちょっと言い方悪かったね、ごめん」 「いや、おれが勝手に忖度しただけだから気にしないでいいよ」 「わかった。 …とまぁ、そんな感じに不満が溜まっててね?情けないことに将来の事悩んじゃったりして、寝れなくってさ」 「彩夢でもそんなことあるんだな」 「もー、人をなんだと思ってんのー」 「いや、てっきりゲームして夜更かししてるって思ってたからさ」 「まぁ、確かにそう言ったからなぁ」 「だろ?だからずっとそうだと思ってて…」 心配かけないようにって思ってたからなぁ。 何だかんだ相談とか乗ってくれていた両親がいなくて思いの外、精神的にきてたみたいだ。 そのせいか最初に出てきた言葉も「……ごめんね」だった。 「なぁ、おれは頼ってほしいって言っただろ?謝ってほしいんじゃないんだ。 引け目を感じるって事はたぶん、心配かけたくないとか思ってるからだろ?でも、何も言わないで気が付かないうち潰れてしまう方がおれは怖いよ。 だから、もっと遠慮なく甘えてくれよな」 「うん…」 感謝の言葉を言える状態でもなくなってしまったのでそっと机に突っ伏した。 優しさが身に染みる。 涙腺が緩んで仕方がない。 緑川君はそんな私の頭をまた撫でてくれた。 居心地がいいなぁ。 「その方がおれも嬉しいから…な?」 「うん…」 じんわりと滲んだ涙で少しだけ視界が曇ったけれど、緑川君は口角をあげて笑ってるみたいだった。 表情見えないけど、きっと女子が大歓喜するような優しい表情してるんだろうなぁ。 本当は見たかったけど、あまり情けない顔は見られたくないので暫く涙が引っ込むまで机に突っ伏して彼に撫でられてることにした。 そうして漸く私が泣き止む頃には外は結構な暗さになっていた。 夏も開けたから夜が早くなりつつあるようだ。 流石にそろそろ帰らないとまずいだろう。 「結構真っ暗だし雨も酷いなぁ。 大丈夫?」 「うん、問題ないよ。 男だしその辺心配ないだろ」 緑川君可愛いから襲われないか心配だよ、そう言いかけた言葉は飲み込んだ。 地味に機嫌悪くなるの知ってるからだ。 こんな日なら泊まっていけばいいのになぁなんて、あんまり一人暮らし 仮 してる女の子としてはよくない事が思い浮かんでしまった。 それもこれも萩原君が前にお泊まり会したーい!とか騒いでたからってことにしておこう。 「お泊まり会したいね」 「…ん?どうした急に?」 「ううん、何となく。 やっぱりちょっと一人って寂しいからさ」 一緒に靴を履いて外に出ようとすると、緑川君は何を考えたのか私に詰め寄ってきた。 なんだか目が据わってるし…デジャヴだな?どうしてこうなったんや…。 「それ提案者誰?」 急に詰問するような鋭い言い方に変わった彼に内心驚きつつ「女友達だよ」って笑って言った。 流石の私も学習してる。 ところが、誤魔化し具合は完璧だって思ったのに、思いっきり「ダウト」って言われた。 なん…だと…。 バレるようなこと言ってないというのに。 「ほ、本当だよ!だから落ち着けって! 「そういう提案するのはあいつしかいないだろ 「いや、そこでどうして萩原君が挙がるんだ!」 「おれは萩原とも言ってないぞ?」 「あー…そうだったっけ?いっけーなーい!てへっ」 焦りは最大のトラップだね!松田君!口が滑るとはまさにこの事だ!詰め寄られて妙に身体が密着した体制になったのだが、いつもならそんなに感じない危機感も彼の剣呑さからか、それとも何処か暗く見える表情のせいかドキがムネムネした。 緑川君は一言も発さないで、じーっとただわたしを見つめてくるだけだ。 何故かその視線にそわそわして目が泳いでしまった。 「あのー、緑川君?」 一度声かけても反応が無いので、どうしたら良いのかと思いあぐねていると、緑川君はプッと吹き出した。 「そんなに目を泳がせてどうしたんだ?」 「いや、流石にイケメンは目に眩しいなって…」 「本当にそれだけか?」 クスクスと笑う彼はいつもの彼だ。 良かった戻ったみたいだ。 悪戯げに笑ってるけど、本当にそれだけだよって言うと、露骨に残念そうな顔をした。 なんだか、ごめん…。 「あのな、それでお泊まり会の話だけど」 「うん」 「萩原と二人にはならない事」 「やっぱり緑川君、萩原君過激派か何かだよね?」 「彩夢の身を守るためなんだよ」 「いやでも…」 「な?」 「りょ、了解です…」 笑顔の圧力には敵わなかったです。 素直に頷くことでこの場は収まり、本当にお泊まり会するときは降谷君と緑川君も呼ぶってことで話はまとまった。 「…っと、長らく立ち話させて悪かったな」 「いや、最初に私が振った事だから」 「そうだったな…。 なぁ、彩夢」 「うん?」 「約束破ったら、罰ゲームな?」 「……肝に命じます」 緑川君はとても満足そうでした。 でもそれはそうとして本当にお泊まり会はしたいなぁ。 ちょっと寂しい気持ちが伝わったのか緑川君は「また来るよ」とニッて笑ってくれた。 うむ、ありがたい…。 「じゃあね」 「おー。 じゃあな」 雨の中出て行ったその背中を私は最後まで見送った。 雨宮彩夢 笑顔の圧力って怖いよね。 笑ってるのに笑ってないの、やばくない?なんか危ない感じがするんだよね…。 気のせいだといいなぁ。 それはそうとしてお泊まり会したい 緑川景光 ゼロと来なかった理由は察してくれ。 ほら、やっぱり二人きりになってみたいだろ?結構堪えるの大変だったけどな。 やっと頼ってくれるようになってきたから是非この調子でいってほしい。 もっとおれを頼ってくれ。 とはいえ急に甘えてこられたのは理性と心臓に悪かった。 頭撫でて欲しいって言われてとっても嬉しかったです。 思うことは色々あるけど、彩夢の悩み事は増やしたくないんだよなぁ。

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